言の葉
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季節は確か夏だったと思うんだけど 前回の日記の次にある記憶が 夏 昼寝をしている妹
当然だけど冷房なんてものが世間にあるって まだ知らない頃 夏になると実家はいろんな戸が開け広げられ 東と西と南が完全に風の通路となるような感じだった ふすまで仕切られた部屋が3つほど続いていたから ちょっとした広間みたいだったかな
その真ん中で昼寝をしている妹
夏といえば蚊だよね まだ生まれてはいはいくらいしかできない妹のため 母親から「赤ちゃんに蚊帳をかけてあげて」っていわれて 当時3歳だったボクがその大役をおおせつかった
この赤ん坊用の蚊帳っていうのが 昔食卓の蝿除けにつかった蝿帳の一回り大きくしたようなもので 傘を開くみたいに紐を引っ張ると四角に広がるのが面白かった
で 無事妹に蚊帳をかけてみて なんとなく自分もその中にはいりたくなって 蚊が入り込まないように気をつけながら すやすやと寝ている妹の脇 赤ん坊用の蚊帳のなかにもぐりこんだんだ さすがにちょっとでも気を抜くと蚊帳が持ち上がってしまう 床にぺったり顔をつけてみると目の前に妹の手
なんとなく握るととても温かくてやわらかだった 軽く握ったその掌をひらいてあげると こんなに小さいのに もうちゃんと指の関節も爪もあって・・・ なんとなく自分の縮小版みたいな感じがして 壊れないように 起こさないように そーっと でもずっとずっと握っていたんだ
子供心に このちゃっちゃな手をした 自分の妹を いろんなことから守らなくちゃって思いながら・・・
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