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原作と映像化について 2001年08月29日(水) 先日まで読んでいた「バガボンド」の原作は、吉川英治。今、私は「ネバーランド」というドラマを見ているが、それの原作は恩田陸。 原作のある、漫画や映画やアニメなんかは数多い。そして私は、割と両方とも読んでみたい人である。(必ずしも両方読むわけではない。興味がわいたら) どちらかと言うと、原作を知っていてその映像化を興味を持って見る、というのが多い気がする。でも、そういうのって大抵すごく幻滅させられるんだよね…。 実際、「ネバーランド」はほんとにがっかりしてる。私はジャニファンじゃないから、ドラマの内容がしっかりしてないと楽しめないのよ。小説の方はおもしろかったから、すごく残念。もしドラマを先に見てたら、原作に興味持てなかったと思う。いや、どんなにひどいんだ?という興味で読んでみたかも?(笑) 一方、映画などを見ておもしろかったのは、原作もぜひ読んでみたいと思う。そして、原作を読んでもとても満足のいく作品だったりする。まあ、それは当然かな? いい作品じゃないと、映像化しないだろうから。 つまり、他の人はどうかわからないけど私の場合は、「小説→映像化」という順序は受け入れがたいが、「映像→小説」という順序でなら二度楽しめるらしい。 小説というのは、解釈を制限せずに、読み手の自由な想像で楽しむことができる。自分で勝手にイメージをつくることが許される。(だから、小説のファンはよく「イメージが壊れるから映像化には反対」と言ったりする。私は好奇心旺盛なので、なんでも見てみたいけど。) 映像だとそれが固定されるから。そのイメージが正しい姿のように描かれるから。 でも、「映像→小説」という順序だと、小説は別物だと楽しむことができたりする。全然違う世界が広がってるから。 結局…映像には小説と同じものを求めてしまうのに、小説には映像と同じものは求めないから、ということなんだろうか。 ちなみに、同じ「映像→小説」でも、「映像のノベライズ」はやめた方がいいと思う! これはほんとに。数冊しか読んだことないけど、ほんとに読むだけ無駄です。書いても意味あるの? これも、「小説に映像とまるっきり同じものを持ってこようとしてるから」、よくないんだと思うよ。でも映像が元になってると違うものは書けないよねえ。たまにあるけど、ほんとに存在意義が謎。 ああでも、その逆で、映像化の時に、「違うものだと思って作る」か「同じものを求めるか」という違いはあると思うんだけど、それは一概にどちらがいいとは言えない気がする。原作のファンだったら、原作の世界を壊さないで素晴らしいものができてたらそれが一番だと思うし、違うものになっていたおかげで成功した、というのもあるだろうし。 原作者は複雑だろうな。作り手も。 ああ、あと。漫画のノベライズというのが時々あるけど、あれはほんとに謎。どんな存在意義があるのだろう? 青少年の活字離れを防ぐ…とか言わないよね。つまんない本読んだら、かえって活字離れするっちゅーに。 ……なーんて言ってるけど、実は読んだことがない。感想は読んでから言え? だって、パラパラ見たらどんなのかわかるよ…。 ------------------------ 映画を先に見てから原作を読んだというのもけっこうあるんだけど、今でも鮮烈に記憶に残ってるのは、「飛ぶ夢をしばらく見ない」と「きらきらひかる」かな。 まあ、私は見る映画の本数も極端に少ないんだけどね。 どちらも、映画の宣伝とか広告とかプロモを見て、興味を惹かれて見たもの。 「飛ぶ夢をしばらく見ない」は、山田太一原作。 病院で老女と知り合った中年の男が主人公。再会したとき、老女は若返っていた。会う度に若返っていくその女性と愛し合うようになるが、若返りは止まらずに…。という話。(SFじゃないので、なんで若くなるのー?とか思わないように) 女性を、石田えりが演じていた。男性は…憶えてない…(笑) ビデオで見たんだけど、実はあまり映画のことは憶えてなかったりする。ただ、ラストシーンの秋の夕暮れの色がキレイだったなあと思い出す。 でも、これは小説が大好きで。終わり方がすごくせつなくて、大好きなんだ。今読み返して、ちょっと涙ぐんでしまった。 「きらきらひかる」はけっこう有名だけど、江國香織の原作。 でもこの映画を見たとき私は江國香織は知らなくて、薬師丸ひろ子が「徹子の部屋」でこの映画の話をしていたのを聞いて、見てみたくなり、映画館まで見に行った。 偽装結婚しているアル中の妻(薬師丸ひろ子)とホモの夫(豊川悦司)と、夫の恋人(筒井道隆)の話。と書くと、知らない人には際物だと思われそうだが…。淡々としてせつなくて愛しいお話だった。映画ではけっこうディープなキスシーン(もちろん薬師丸ひろ子のではないよ)があってちょっとびっくりしたけど、それもなかなか味があってよかったのではないかな。客寄せのネタにもなるけど、それだけのためのシーンじゃないからね…。 それを見た後に、原作を読んだ。原作は、映画とはまた違った雰囲気だった。もっとガラスみたいな感じというか…。苦手なタイプかと思ったけど、気に入ってしまったのが不思議だ。これは、映画を見ていたせいなんだろうか? このふたつは、原作の雰囲気を壊さず、なおかつ違う情感を描いて見せていると思う。お気に入りです。 |
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