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「言葉にすればするほどに意味が軽くなる」
2002年03月08日(金)
「感じたままを口に出す」という見出しで、朝日新聞に宮沢章夫氏(劇作家・演出家)がこんなコラムを載せていた。
ピカソ展で「ミノタウロス」という牛頭人身の絵画を見た女性が「肉、食べたいわね」と言ったという。
また、伊藤若冲という画家。生家が野菜問屋。その展示会で「やっぱり、野菜の絵が多いわね」。
人はなにを想像するかわからないが、問題は口に出すかどうかだ、と書かれている。

某誌の四コマでは、「心の平安を得るために秘密にするタイプとオープンにするタイプがいるのよ」なんてセリフがあったっけ。


私は、日常生活ではかなり無口な方だ。だから、すぐに思ったことを口に出す人の気持ちはわからない。
必要ないなら、ずっとしゃべらなくていい。しゃべるのって、私にとってはすごく体力消耗すること。
反対に、うちの姉はよくしゃべる。ひとり暮らしで普段話す相手がいないから、というのもあるかもしれないけど、それにしたってよくしゃべる。
その姉が、この前うちに帰ってきていた時のこと。

私が姉に「君のいる場所」(ジミー)という絵本を見せてあげた。
しばらくして、姉が言った。「これ、最後会えたのかなあ」
私は他のことをしていたし、その最後の方がどんな絵だったか忘れていた。なので、「それは読んだ人が思ったらそれが答えなんだよ」というような答え方をした。
そしたら、「じゃあ、○○○はどう思う?」と聞いてくる。なんだよ、国語の授業やってるんじゃないんだよ(笑) それになんと答えたかは忘れたけど。
まあ、この時は答えるのがめんどくさかったっていうのもあるんだけど…。

あの、言葉にして欲しくないことって、ないですか? 言葉じゃなくて、見て、わかってよ、みたいな。
うちの姉も母も、すぐに口に出す。デリカシーがないと思ってしまう。


なんてことを書いている私だけど、日常生活でしゃべらない分、文章を大量に書いている。私はしゃべりたがりじゃなくて、"書きたがり"。
「問題は口に出すかどうかだ」
「問題は文章に書くかどうかだ」
でも口に出すのはけっこうぽろりと簡単だけど、文章はもうちょっと手間がかかる。書くだけでなく誰かに読ませるとなると、かなりな手間がかかる。もう、しゃべるのに体力が要る、なんてものじゃない。
でも私は、書きたい。
私はなぜ、書きたいんだろうね。
言葉にして欲しくない、と思うことがたくさんあるのに。

放棄してないから。わかること、わかってもらうこと。

「言葉にすればするほどに意味が軽くなる」というのは、ゆたかくんの詞。
それでも、彼だって自分の言葉で歌ってるものね。


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