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MAZE/恩田陸(双葉社)|落花流水/山本文緒(集英社)
2002年09月01日(日)
「MAZE」は、何百年にも渡り人が消えるという、禁断の建造物をめぐっての物語。
恩田陸らしい、詭弁とはったりの効いた話だと思います(笑)

「落花流水」は、一人の女性の半生記…かな。
相変わらずこの人は、なんとなーく嫌な気分というか、せつない気分になる話を書いてくれます。でも、不思議とそれが心地よいというか、読みたくなるのよね。好きなんです。寂しくなるのにね。
10年ずつ章が進み、語り手がどんどん変わっていくんだけど、私は「もう行かなくては」(17歳)の章がよかった。そういう気持ちに、いつでも感情移入する。どこへ行っていいのかわからない、漠然とした不安。それでもその場所へ自分をつなぎ止める存在があって…。
私はいつまでも膝を抱えた子供のままなんだと思う。もう次の章に進んでもいいのにね…。


置き去りにされる方が、寂しい。
「ホットロード」の中のセリフに、「置き去りにする方も、すげーつらかったんじゃねえ?」なんてのがあったけど、私はまったくそうは思えなかったので、今でもそれが忘れられない。
私は、取り残されて寂しかった記憶しかない。誰かを置き去りにした記憶、置き去りにして寂しかった記憶はない。(そういうことをしたことがないのか、なんとも思わなかったから記憶に残っていないのかは、わからない)
絶対に、残される方が寂しいよ。私はそう思う。

自分の中に、穴が開いてることに時々気づいて、どうしてそれを抱えていなきゃいけないのか、わからない時がある。
それでも自分をつなぎ止める何かがあって、どこへも行けないでいる。どこかへ行けたら、何かが変わるのかな。


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