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「ハッピー・バースディ」新井素子
2003年09月06日(土)
『「おしまいの日」から10年』という惹句に驚いてしまいましたが…。

新人賞をとり、人生の黄金の時を過ごしていた女性作家の元に、「いい気になるなよ」という手紙といたずら電話がかかってくるようになった…というお話。

最初、読み始めてみて、主人公である女性作家の描写(容姿)と彼女の口調だとか性格づけに違和感を感じてしまった。これが彼女の文体なんだということはわかっていても、なんとなく…こういう口調の女性は嫌だな(苦笑) 嫌でも、説得力があればいいんだけど、なんとなく違和感があって…。

その、作家である女性と、いたずらをする浪人生の男の子とが主人公で、二人の視点で話は進むのだけど、始めのうちはすごくイライラした。主人公たちがイライラしてるのだから当然かもしれないけど。
後半、立場が逆転する頃から、ニヤリという感じになるんだけど…。それもまた、素直に話が進まない。
終わり方が、非常に新井素子らしいというか。後味の悪い、単なる「できごと」で終わらせないあたりが、彼女らしいと私が思いましたが。でも、これを読んだ人が、この女性の心情に感情移入してカタルシスを得られるかというと…そんなことはない気がします。

私は、最初の頃の気持ちで止まったまま読み終わっちゃったんだけど…。やっぱり、こういう問題は、自分で消化するしかないんでしょうねー。


*8/30分から書いてます。


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