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『KAGEROU』齋藤智裕 2010年12月19日(日) リストラされて借金を抱えた40歳の男。誕生日を翌日に控えたある夜、廃墟と化したデパートの屋上から飛び降りようとするが、黒づくめの男に声をかけられ、飛び降りを思い留まる。男はとある契約をもちかけてくる。それは……。------------------- 流行りものにはあまり興味がない、多少興味があっても自分が手を出すのは恥ずかしいタイプです。私の主義(?)に反する。でも今回は買いました。 水嶋ヒロという俳優が好きだったからです。(過去形ではないよ) ごくごくミーハーに、出演作が好きで、顔や声が好きなだけですけど。だから、結婚報道などあれやこれやの騒ぎも興味を持って見てきました。 本はできるだけ買おうと思っている(出版界のために)けど、単行本はやっぱりハードル高いですよね。値段が高いというのもあるし、収納スペースの問題もあって。手元に置いておきたい本は文庫にしてる。だから、今回も興味はあっても買う気はなかった。 実際発売されてみると、地元の本屋では売り切れてたので、手に取ることもできなかったんだけど。ネット上でいろいろ感想やらなにやらを見ていて、ネタバレを避けるために見る範囲が狭まってしまうことに気づき、これは買うべきかと思った。 早く読みたいということではなく、今読むことが大事だなと。読んで、あれこれ気になってたことがわかったのですっきり。なるほどなるほどと納得。なので読んでよかった。自分で確かめないとすっきりしない性質なので。 買った経緯(というか言い訳?)をなんでこんなに長々と説明してるんでしょうね(笑) 感想としては…そうだなあ、やりたいこと(気持ち)はわかる、でも確かに拙い。設定もトンデモ。でも読みやすい。展開はすっきりとまとまってる。そんなに酷評されることはない、という感じです。 発表される経緯があるからあーだこーだ言われているけど、そこまで言われることじゃないよなあと思います。まあ、その経緯がなかったらこんなに売れないだろ?ということですが…。 でも出版界の活性化のためとかなんとかで賞金辞退したでしょ? 賞金よりも、出版によって活性化されてるから、よかったじゃない、と。なんかの週刊誌の見出しに「全国の小説家志望者に希望を与えた」とか書いてあったけど(笑)、それもよかったじゃないですか(笑) 文章は達者でもつまんない小説、本、いっぱい売られてるじゃないですか。でも、私はこの小説は結構楽しんで読みました。文章は訓練次第で成長していけるけど、人が楽しめる小説は誰にでも書けるものじゃないんじゃないでしょうか。 最初に断片的に入ってくる情報では、もっと説教じみた小説なのかと思ったので、あんまり読む気しないと思ったんだけど、すごくエンターテイメント性があったんですよ。トンデモだけど(笑) でも夢があるよね(笑) つっこみどころはすごくたくさんあるんですよ。そもそもの設定からそうなんですけど。 文章も、「シナリオ的文体」とか週刊誌に書かれてましたけど、そのとおりなんですよね。「小説」ならば書かれているであろう部分が一切省かれていて。映像ならばそこらへんが役者の演技やら映像の雰囲気で補われる部分だよなと。 売り方も、話題先行で今は売れてるけど、今後はどうなんだということを書かれてましたが、それは私も心配しています。この文章で今後が心配だよ…。私が心配することじゃないか(笑) それから誤植に関して。 初版は、終わりの方のページに誤植があって、シールが貼られているんです。噂によると貼り方のうまいへたがあるとか(笑) 私のは綺麗でした。店頭で他のも見てみたけど綺麗だったけどな。 この誤植を、大失態というように書いてある週刊誌も見ましたが、ネットの感想を見ていたら、これは意図的なお遊びだったんじゃないかと推測している方がいて、それにすごく納得したんです。内容にリンクしていること、他にも遊び(そちらも本の内容に沿っているが、必然的ではないこと)が仕込まれているということで。なるほどなと思いました。遊びだという釈明をしないのは、それもまた話題づくりなのかな、と思います。 滅多に買わない単行本、そしてベストセラー作品でしたが、いろいろな意味で楽しめたので後悔はしていない。 まあ、評価としてはこんなものですが。 →★★ ついでに、おもしろかった感想を紹介。笑えるような、感動的なような(笑) 中森明夫氏による『KAGEROU』の個人的な感想 http://togetter.com/li/80247 |
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