気まぐれ日記
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研修のため北へ。やはり地元よりかなり都会。そのためほしかった本ゲット。何故、地元にハヤカワ文庫の日本人作家の本が少ないのか? つーか無いに等しい。星界の紋章(だっけ?)はあるけれど。売れないのか? そんなことより、研修は?(でも、タワー行ってきたし) 少し、話は戻る。 井上はあれから何度か紀代に会っている。それは決まって夏目が留守の時である。 「いつもすいませんねえ」 「いえ、弟がいつもお世話になっているそうで」 「とんでもない。毎回こうやってコーヒーが飲めるのは夏目さんのおかげでして……」 紀代は、笑顔になる。 「紀代さん、ご結婚なさっているんだよね……」 「ええ」 「指輪は?」 紀代の指には指輪はなかった。 「指輪……」 「いえ、ごめんなさい。今はしないのですかね」 確かに給料をはたいて高い指輪は買わないものが多くなった。しかし、それでも安物を結婚指輪としている者が多い。 「ないのよ、まだ。でも、そのうち石つきのいいものを買うからって。そのときは私がおばあさんになるころかしらね」 「なるほど、最高の贅沢ですね」 「まあ、そうですね。セリナちゃん、何か甘いものあるかしら」 「はい。お持ちしますね」 セリナは変わらず紀代の頼みを聞いた。それを見て、井上はいつも驚く。セリナは井上の頼みですら聞く。ドールとして問題だが、セリナの柔軟性はこれからの開発に取り入れたいと彼は思っている。 「ごめんなさい、お姉ちゃん。もうお菓子が残っていませんでした」 「ああ、この間……井上さん、すいません、今日は何も残っていないみたいで」 「いえ、お構いなく。毎日のように来ている僕です。コーヒーだけでもうれしいのですから」 「すいません、今度買っておきますから」 「……紀代さんが買ってるんですか?」 「十真はあまり食べないから。私がここに来るときに、自分で食べるために買います。甘いものばかり食べちゃ太っちゃうのにね」 「はあ……」 井上は、いつもコーヒーを堪能して帰っていく。ただいつも紀代に会ったときは後悔する。花でも買ってくれば、と思うのだった。
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