気まぐれ日記
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2003年07月12日(土) 夏目編 終了

 夏目編は、1夏目が女として一生を過ごす。2今までどおりの生活で過ごす。3実はちゃんと紀代という姉がいて、姉を助けるため森から離れる。みたいなのを考えてました。そして、話を続けるためこちらはこちらで話が進みます。来週は井上の商売戦線編。でも草は、経済なんぞに疎いです。

 「父にも呆れます」
 夏目が転寝している時、森がぽそりとつぶやいた。
 井上も少しワインをもらい、口にしていた。夏目のことはしょうがない。多分、今の姿で自分は夏目だと本人が言ってもあのときの自分には通じないだろう。それなら、姉なり何だり他人としたほうが伝わる。
 (夏目さんは、その苦しみを何度も味わったんだろう)
 井上はそう思っていた。だから、森の突然のつぶやきに返事が遅れた。
 「何がです?」
 「彼女が成人してからの話ですが、彼女には妊娠すら要求されました」
 「なんで?」
 「性転換希望者には子供もほしがる者がいるんだよ。それで、彼女がちゃんと妊娠できるか」
 「実験を?」
 「しましたよ。父が。彼は望まなかったけれど無理やりね」
 「それで」
 「精神的に参ってしまいました。そのため流産しました」
 「……」
 「それでも、妊娠ができるということがわかった。でもやり方はまずかった。彼も彼女も父に会おうとしない。だから薬が切れようが、父のいる日に通院はしない」
 「しかし、貴方の場合、さっき言っていたが……」
 「その辺は夏目君にもわからないだろうね。彼女は私を拒まない。だから、彼の精神も彼女の精神もかみ合わず、彼は自分に混乱する。これを論文にしようと思ってね」
 「貴方も最低です」
 「そうだよ、私は最低だよ。でも父よりはましだ」

 「お邪魔しました」
 「通院日には来てくださいね。困るのは貴方ですよ」
 「はい」
 夜遅く、夏目とセリナは森の家を出た。井上は席に帰った。なにやら慌てて。自分が転寝している間に。
 「じゃあ、気をつけてね」
 「はい」


草うららか |MAIL

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