気まぐれ日記
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2003年07月22日(火) 指、切った。

 仕事上、切ることがありますが、右人差し指と親指切りました。キー打つの大変です。やっぱり今の仕事、向いてないかも。
 今日は、セアレという魔族の話です。

 「あーあ、やっかいな」
 仕事中だった。今はボーイのバイトをしている。白シャツに黒のベスト、リボンタイに黒のエプロン。
 「頼むわよ、いいわね」
 「オフィーリスに頼まれたら、断れませんよ」
 彼女はいつでも厄介なことを他人に押し付ける。
 「僕は仕事中なんですよ」
 「なに言っての? ここに巣くっている馬鹿に一喝すればいい話。仕事中でも十分よ」
 なんでも、馬鹿がこのレストラン内に巣くっているらしい。まったく気づかなかったが。彼女は相手のことを教えることなく消え去った。

 「ははん、このなかだな」
 砂糖つぼには地神がいた。三流の小さな地神だった。
 「げ、魔族」
 「やあ、こんちは。おとなしく去れば何にもしません」
 「おいら、なんにもしてないって」
 「砂糖が急減りしてコックは怒ってるんだよ」
 「そんなの、おいらは知らないよ」
 「ふーん」
 まったく、この手の神は少々脅さないとだめのようだ。
 「僕は、神族なんか好きじゃないんですよ。でも、砂糖漬けの地神はおいしそうですね」
 「食うのか」
 「ええ、魔族ですから」
 「うわあっ」
 「逃がさないよ」
 つめを伸ばし、地神を一突き。ぐったりとそれがうなだれる。そのときだった。それは正体を現した。
 「ちっ、こんな魔族にやられるとは」
 大きさも人間の大人サイズになったそれは、砂糖つぼを蹴飛ばした。つめは刺さったままだった。
 「あーあ、もったいない」
 「あんたが出てきたんなら俺は帰る。いっとくが、俺は砂糖をなめっていただけだ。このレストランにはまだ何かいる」
 「そうですか。あ、帰らないでください」
 「ああ?」
 「血をください。あまいかもしれないから」

 ほぼ、半分消えかかった地神は逃げ帰った。あれだけ血を奪われればすぐには戻ってこないだろう。
 「やっぱりまずいや」
 人間の感情ほど、うまいものはない。 
 


草うららか |MAIL

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