気まぐれ日記
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仕事上、切ることがありますが、右人差し指と親指切りました。キー打つの大変です。やっぱり今の仕事、向いてないかも。 今日は、セアレという魔族の話です。
「あーあ、やっかいな」 仕事中だった。今はボーイのバイトをしている。白シャツに黒のベスト、リボンタイに黒のエプロン。 「頼むわよ、いいわね」 「オフィーリスに頼まれたら、断れませんよ」 彼女はいつでも厄介なことを他人に押し付ける。 「僕は仕事中なんですよ」 「なに言っての? ここに巣くっている馬鹿に一喝すればいい話。仕事中でも十分よ」 なんでも、馬鹿がこのレストラン内に巣くっているらしい。まったく気づかなかったが。彼女は相手のことを教えることなく消え去った。
「ははん、このなかだな」 砂糖つぼには地神がいた。三流の小さな地神だった。 「げ、魔族」 「やあ、こんちは。おとなしく去れば何にもしません」 「おいら、なんにもしてないって」 「砂糖が急減りしてコックは怒ってるんだよ」 「そんなの、おいらは知らないよ」 「ふーん」 まったく、この手の神は少々脅さないとだめのようだ。 「僕は、神族なんか好きじゃないんですよ。でも、砂糖漬けの地神はおいしそうですね」 「食うのか」 「ええ、魔族ですから」 「うわあっ」 「逃がさないよ」 つめを伸ばし、地神を一突き。ぐったりとそれがうなだれる。そのときだった。それは正体を現した。 「ちっ、こんな魔族にやられるとは」 大きさも人間の大人サイズになったそれは、砂糖つぼを蹴飛ばした。つめは刺さったままだった。 「あーあ、もったいない」 「あんたが出てきたんなら俺は帰る。いっとくが、俺は砂糖をなめっていただけだ。このレストランにはまだ何かいる」 「そうですか。あ、帰らないでください」 「ああ?」 「血をください。あまいかもしれないから」
ほぼ、半分消えかかった地神は逃げ帰った。あれだけ血を奪われればすぐには戻ってこないだろう。 「やっぱりまずいや」 人間の感情ほど、うまいものはない。
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