気まぐれ日記
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って、いうか来週からまた「フェアリードール」再開です。一週間早いよ、本当に。日曜日、一週間の総まとめするから「何モンだよーおめー」などと思われるところは黙って読んでください。特に月曜日は日記自体、誰がかいているか不明だし。 今日は、カーナリアスの日記。元生命の女神です。
人間……元人間二人が私の前にいる。一人は固そうな軍人さん、ひとりは軽そうなお兄さん。二人とも私をナンパした。 「お姉さん、俺と一緒にケーキでもくわねえ? もちろん、俺のおごりで。どこかにおいしいショートケーキがあれば最高なんだけど」 「お嬢さん、私と一緒に食事でもいかがですか?」 ……なんなのだろう、この人間たちは? でも誘われて悪い気はしない。 「まあ、どうしましょう。私はこれでも大きな子供が二人もいるのよ」 「え、そうなの? お姉さん、若いねえ。俺のかあさ……じゃなかった。俺、年下かとおもっちゃった」 「失礼しました。お嬢さんなどと。では、奥方。今宵は私めにお付き合い願いますか」 思わず、ふき出してしまった。 「貴方たち、なんなの? 私の取り合い?」 「この場合……」 「両方玉砕だな」 どうやら、ナンパ合戦だったようだ。私は二人を誘って喫茶店に入った。魔界でも少ない、まともなものを出してくれる店に。 「ふーん、不死の人間って貴方たちのことなのね」 蘇生魔法の失敗によって不死となった軍人さん。 自分の魔力と他人の魔法で不死となった軽めのお兄さん。 「そういうこと。たまにこうやって魔界に来ているんだ」 「そういう約束があるのです」 この二人は、元は人間同士だということで、引き合わせられたらしい。が、お互いに名乗ることもなく、こうやって自分の興味で動いている。 「こいつにさあ、名乗ろうと思ったら「野郎の名前は覚えない」っていったんだ。だから俺も、名乗んなくていいっていったんだ」 「同じ不死者とはいえ、赤の他人だからな」 この二人は、性格は違えど、似たもの同士なのだ。それも、かなり似ている。 「魔界は美人のお姉さんが多いから楽しいけど、うっとうしいのも多いよな」 「そうだな。たのんだ」 そう、この二人はもうわかっている。この二人を狙う魔族の一人が近くに来た。 「奥方は……大丈夫なようですね」 「ええ、これでも。前魔帝の妻ですから」 今は、息子が魔帝の座にいる。魔界には魔帝が支配しきれない魔族もたくさんいる。 軽めのお兄さんは立ち上がって、その魔族を見た。 「いやだね。美人のお姉さんがいるのにお話を邪魔されるなんて」 「人間風情がなんでここにいる?」 「なんでって。俺は許可を受けてここにいるんだよっと」 お兄さんの魔法は、もう発動している。なるほど、かなり癖のある魔力だから、何かのほつれで不死となったのだろう。その魔族は、空間に飲み込まれた。 「邪魔なんだよ、まったく」 「野蛮だな」 「おめえは何にもしねえけどな」 「お見事ね。ちょっと驚いたわ」 本当に。空間を操る人間の魔法使いは絶滅していると思った。 「なんの」 「あなたは妖精主の大陸の出身ね。あそこにはまだ人間の魔法使いが残っているかしら」 「さあな、俺は六百年ばかし寝ていたから」 「今は、ほんの数人の人間の魔法使いが存在してますよ」 人間は、魔法を必要としていないのが良くわかる。 「私は、妖精主に一度あったことがある。確か、魔力にはサイクルがあって人間が魔力を持つ時期と、持たない時期があるって」 それを管理するのが妖精主。 「妖精主ですか? 一度お会いしたいとおもってます」 「すごく美人で……。今の妖精主も美人かしら」 「ああ、美人さ。俺の弟だし」 軍人さんが少し拍子抜けしている。たぶん。驚いたのは、この軽めのお兄さん。まさかこの人がとは思わなかった。 息子と、対等に渡り合った人間。
「母さん」 カルストラ……中身こそ、運命神に作られたが、私の息子の一部。そして、やっぱり私の子。 「どうしたの? かなり薄くなっているけど」 「やられたよ。人間だと思って手を抜いたつもりはなかったんだけど……相手はとんでもない魔力の持ち主だから。なんとか意地で勝って平然を装ってたけど、もうだめ」 そのまま、息子はしばらく眠っていた。そしてしばらくすると起きた。 「もういいの?」 「うん。妖精主に謝られた」 「妖精主に?」 「兄がご迷惑かけましたって」
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