気まぐれ日記
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「フェアリードール」の再開です。セリナ編ですね……何も考えてないかもしれない。どんな話になるかまだあいまいですが。
セリナが来てからというもの、夏目はいろいろ大変だった。大変とはいってもそれほど困るわけではなかった。逆に言えば、楽しかった。家事なども一つ一つ教えると、後は全部セリナがやってくれる。たまに失敗するが。 井上は、やはり一週間に一度来ている。たまに遊びに行って子供たちの相手をセリナにさせた。 バイトはバイトでこなしていた。必要な分とちょっとの貯金があればそれでよかった。 ただ、問題なのは日に日に女になるのが早くなっている。 「原因は、不明だね」 森はそう言った。 「そうですか……」 「一つは、薬に体が慣れてしまったんだ。それしか思いつかないね」 「……」 「薬を新しくするか……しばらく薬をやめるか、だね。ただ、新しい薬なんてないから、しばらく薬を飲まないことだね」 そんなわけで薬は飲んでない。当然しばらく女のままで過ごす。それでも不自由はしていない。確かに精神的な面では負担はあるが、もうすでに慣れていた。 「トーマ様、大丈夫ですか?」 「なんで?」 「いいえ、ただ、なんとなく元気がないから」 「うん、大丈夫だよ。ちょっと疲れているだけだから」 「なら、いいんですけど。私の前では、無理しないでくださいね」 先ほど美幸が来て、話をした。もちろん彼女は夏目を紀代と思っているのだが。その度に、夏目は後ろめたさを感じている。 「セリナの前だと楽だよ、ありがとう」 「……あの、トーマ様」 「何?」 「行きたいところがあるんですけど」 「行きたいところ?」 「はい、実は、私、そこがとても気になって、仕方がないんです」 ドールに、そういうことがあるんだろうか、と思いつつ夏目はどこに行きたいのか聞いた。 「私立図書館です」 「私立図書館?」 個人で運営されている図書館。やっていることは市立などと変わらない。しかし、私立というだけあってかなり偏った本が並んでいる。更にそこは大手のドール製作会社の系列の図書館。 「まあ、いいか」 特に問題はないだろうと、夏目は思う。空いている日を記憶とカレンダーでチェックし、あさってに予定を立てた。
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