気まぐれ日記
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って、世界名作劇場にて一番可愛そうな…つーか、悲劇ですよね。だって、最期天に召されるって、子供大ショックですよね。死ぬんですよ、主人公。いくら安らかな死に顔だからってさ。それに、一番報われてない。けなげに一生懸命生きている割には。んで、周りは敵だらけ。いやになる話だ。 というのが、昨日、家族とした会話です。ちなみに、他のは一応、みんな無事というか、ハッピーエンドですよね。死にもしないし。
夏目はセリナを連れて私立図書館へ。こじんまりとしているが中は、趣味の書でいっぱいだった。それは、夏目もよく目にする本。妖精関係の本だった。 「なんで、ドールの会社が……」 「トーマ様、こっちです」 「え?」 立ち入り禁止と書かれたドアだった。しかしセリナはお構いなしに腕を引っ張った。 「セリナ……」 「入れませんか?」 「うん、立ち入り禁止だって」 立ち入り禁止。昔は、入っても叱られるだけだが、今は撃ち殺されても文句は言えない。とは言え、ここは図書館だ。このドアの先にあるのは事務所かなんかだろう。 夏目は、そっとドアノブに手をかけた。 「!」 手は、そっと離れる。 「トーマ様!」 「静かに。いいんだよ。そっと、入って」 後ろから声がした。夏目は振り向かずに、またドアノブに手をかけた。背中に何か硬いものがあった。それが何なのかはよくわかる。 「でも、まさか、君たちから来るとは思わなかったよ」 「……罠だった?」 セリナが気になったのは、ここからドールだけが感じる何かがもれるからだろう。 「そうかもね」 「あんたは?」 「これは失礼。ドール製作会社クイーンの菊池と申します」 「で、俺たちはどうすればいい?」 「とりあえず、中へどうぞ。夏目十真さん」 他の来館者は何も気にしていない。だからそっとドアを開け、そっと閉めた。 「俺たちに何か、用ですか?」 夏目は手を上げて、男のほうを、菊池の方を向いた。中年の、人のよさそうな男だ。 「いいですよ、手は下ろして。どうせ武器らしいものは持ってないでしょ」 菊池と名乗る男は、部屋の明かりをつけた。そこは、下に下る長い階段があるだけの部屋だった。 「どうぞ、ここから本社に向かうことができますよ」 夏目は、黙って従った。セリナは、何かに引き込まれるように階段を下りる。
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