気まぐれ日記
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2003年08月29日(金) 帰ってきました。

 さて、今日はなんにしましょう?
 あ、そうだ。ベグゼッド。それも、王女の方。実はベグゼッドは二人いて、いつも出るのは祖先のほうで、今日のは子孫のほうです。

 王女。その立場というものはあたしにはわからない。

 「ウィンスリー!」
 あたしと同じ歳で、ビアソーイダの王女である彼女は夜盗の最後の一人を
気絶させた。あたしは逃げ隠れするだけだったが。
 「怪我は?」
 「あるわけないじゃない。こんなので。あんたこそ、ないわね」
 「いいなあ、ウィンスリーは剣が使えて」
 あたしはだめだった。基本だけでも、と思って騎士団長にけいこをつけてもらったがさじを投げられた。そして、グオンは「危ないからやめてください」って。
 「でもね、ベグゼッドがうらやましいって俺は、思う」
 「なんで?」
 「お姉ちゃん、欲しかったんだ」
 あたしのお姉ちゃんは、もう嫁に行っていない。だけど、たまに帰ってきては、花に水をやったり手入れをしたりする。そして、よく育ててくれてるわね、とほめてくれる。
 ウィンスリーにはたくさんのお兄さんがいるが、お姉ちゃんはいない。
 ないものねだり、どうにもならない欲求。
 
 「それが、惨めなの」
 「それは、王女。誰にもあることなんですよ」
 グオンは優しい。女の人であれば。
 「私にだってあるんですから」
 「ホント? ね、どんなの?:
 あたしが聞くとグオンは、顔色を変えてあわててそっぽを向いてしまった。
 「人にいえないこともあるんですよ」
 あたしには、どういうことかさっぱりわからない。けれど、わかったとしてもどうにもならない。なぜなら、ないものねだりだから。


草うららか |MAIL

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