気まぐれ日記
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さて、今日はなんにしましょう? あ、そうだ。ベグゼッド。それも、王女の方。実はベグゼッドは二人いて、いつも出るのは祖先のほうで、今日のは子孫のほうです。
王女。その立場というものはあたしにはわからない。
「ウィンスリー!」 あたしと同じ歳で、ビアソーイダの王女である彼女は夜盗の最後の一人を 気絶させた。あたしは逃げ隠れするだけだったが。 「怪我は?」 「あるわけないじゃない。こんなので。あんたこそ、ないわね」 「いいなあ、ウィンスリーは剣が使えて」 あたしはだめだった。基本だけでも、と思って騎士団長にけいこをつけてもらったがさじを投げられた。そして、グオンは「危ないからやめてください」って。 「でもね、ベグゼッドがうらやましいって俺は、思う」 「なんで?」 「お姉ちゃん、欲しかったんだ」 あたしのお姉ちゃんは、もう嫁に行っていない。だけど、たまに帰ってきては、花に水をやったり手入れをしたりする。そして、よく育ててくれてるわね、とほめてくれる。 ウィンスリーにはたくさんのお兄さんがいるが、お姉ちゃんはいない。 ないものねだり、どうにもならない欲求。 「それが、惨めなの」 「それは、王女。誰にもあることなんですよ」 グオンは優しい。女の人であれば。 「私にだってあるんですから」 「ホント? ね、どんなの?: あたしが聞くとグオンは、顔色を変えてあわててそっぽを向いてしまった。 「人にいえないこともあるんですよ」 あたしには、どういうことかさっぱりわからない。けれど、わかったとしてもどうにもならない。なぜなら、ないものねだりだから。
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