気まぐれ日記
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楽しいですね。すっごいぞろぞろと並んでて。馬車でスペースとってます。あれ、キャラバンってさ、行商人みたいなもんじゃなかったっけ。まあ、いいや。
男はカウンターについた。いつもの、と言ってマスターに注文する。 「お前、確か……」 「おう、久しぶりだな」 「誰だっけ?」 「お前な。バルクだ、バルク」 「おお、いつものと言うと、エールだな」 ジョッキになみなみと注がれたエールとジャーキーを一本カウンターにおいた。 「あのちっこいのとかわいい娘さんはどこにいるんだよ」 「ああ、別行動」 「お前、一人か。大丈夫か?」 「あん? 何言ってやがる。俺を誰だと……」 「ああ、そうだよな。お前、一応名の馳せたウォンテッダ−だよな」 「うん、ああ」 とは言っても、バルクにはもう、求めるものはない。今は国に帰る気もなくぶらりぶらりと旅をしている。いや、それで目的を果たしている。彼の持つ剣に様々なものを見せているのだ。そのために張り合いのない日々をすごしていた。だからと言って毎日の剣術訓練はサボってはいない。サボることのできない身についたことだった。 「ところでよ、代々剣収集家の頼みだが……」 「断る。これはただの剣じゃねえ」 「ただの剣じゃないからほしんだよ」 「うるせー、代々集めた剣を売りやがって何ほざく」 「店建て直すのに使ったんだよ。でなけりゃ、宿としたら店つぶれる」 まったくだ。ぼろ屋で隙間風の入る部屋はたくさんだ、そう思いエールを追加する。 「ちぇ、金で困ればわかるだろ」 「金で困ったことならかなりある」 バルクは、少し昔のことを思い出した。彼は以前、「貧乏になる剣」を持っていた。
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