気まぐれ日記
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HPがどうゆうわけかおかしなことに。なおったけど。
ルイは一軒一軒の店を見て回っていた。かわいいアクセサリーなどがあるとカルミアを引っ張ってきて見せた。 「もう、買いもしないのに」 「でも、かわいいでしょ」 「そうね。でも私はあっちのほうが好きなの」 カルミアは二件先にある花屋を指差した。 「へえ、お花がすきなの?」 「菜園が趣味なのよ」 「じゃあ、いざ、出発」 ルイは再びカルミアの手を引いた。その花屋は中年の女性が一人で開いていた。 「いらっしゃい。何をお探しですか?」 「えっとお……」 店の人に聞かれルイは返事に迷った。 「あら、それ。ノベリイチゴの苗ですね」 カルミアは店の奥にあった苗を見ていった。 「ええ、そうですよ。よくご存知ね」 「私も育てたことがありますから。ところで、私たち、旅をしているんですけど、旅をしながら花の種でも植えたいと思っているの」 その女性はいぶかしげな顔をする。 「残念ねえ、育てることもできないのに種を売ることはできないわ」 「そうですか。わかりました。じゃあ、私にクレンムチューリの球根をもらえますか? 帰ったら餓えたいのですか」 「それなら、お売りしましょ」 いそいそとその球根を取りに奥に引っ込んだ。 「ほら見なさい、買うつもりもないのに入るから」 「ごめん」 「いいのよ。クレンムチューリは欲しかったの。フォーランズにはないから」 「はい、どうぞ」 小さな紙袋に三個ほど入れられて、カルミアに渡した。 「おいくらですか?」 「お代はいいよ。その球根は売れないんだよ」 「売れない? 何故ですか?」 「そうね、この国では飽きられてしまった花だからね」 「でも、だからと言って売れないのは……」 「どういうわけか、クレンムチューリは人の手も必要とせず、どんどんと自生してしまってね。普通ありえないはずなんだけど……」 「あの、それ。詳しく聞かせてください」 ルイとカルミアは店先にあるベンチを勧められてそこに座った。
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