気まぐれ日記
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2003年09月30日(火) ふいー

 HPがどうゆうわけかおかしなことに。なおったけど。

 ルイは一軒一軒の店を見て回っていた。かわいいアクセサリーなどがあるとカルミアを引っ張ってきて見せた。
 「もう、買いもしないのに」
 「でも、かわいいでしょ」
 「そうね。でも私はあっちのほうが好きなの」
 カルミアは二件先にある花屋を指差した。
 「へえ、お花がすきなの?」
 「菜園が趣味なのよ」
 「じゃあ、いざ、出発」
 ルイは再びカルミアの手を引いた。その花屋は中年の女性が一人で開いていた。
 「いらっしゃい。何をお探しですか?」
 「えっとお……」
 店の人に聞かれルイは返事に迷った。
 「あら、それ。ノベリイチゴの苗ですね」
 カルミアは店の奥にあった苗を見ていった。
 「ええ、そうですよ。よくご存知ね」
 「私も育てたことがありますから。ところで、私たち、旅をしているんですけど、旅をしながら花の種でも植えたいと思っているの」
 その女性はいぶかしげな顔をする。
 「残念ねえ、育てることもできないのに種を売ることはできないわ」
 「そうですか。わかりました。じゃあ、私にクレンムチューリの球根をもらえますか? 帰ったら餓えたいのですか」
 「それなら、お売りしましょ」
 いそいそとその球根を取りに奥に引っ込んだ。
 「ほら見なさい、買うつもりもないのに入るから」
 「ごめん」
 「いいのよ。クレンムチューリは欲しかったの。フォーランズにはないから」
 「はい、どうぞ」
 小さな紙袋に三個ほど入れられて、カルミアに渡した。
 「おいくらですか?」
 「お代はいいよ。その球根は売れないんだよ」
 「売れない? 何故ですか?」
 「そうね、この国では飽きられてしまった花だからね」
 「でも、だからと言って売れないのは……」
 「どういうわけか、クレンムチューリは人の手も必要とせず、どんどんと自生してしまってね。普通ありえないはずなんだけど……」
 「あの、それ。詳しく聞かせてください」
 ルイとカルミアは店先にあるベンチを勧められてそこに座った。


草うららか |MAIL

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