| 2001年11月22日(木) |
『女客』/『高野聖』 |
今日通帳記入をしてみたところ、T.A.の給与が振り込まれていることに気づく。 喜び勇んで院生室のメンバーにもその旨を報告。 各々の用途について話し合った所、私以外は皆「洋服」と答えたので驚く。 そっかぁ、それが普通の女子大生なのね。ちなみに私の答えは「DVDプレイヤー」。
本日の一作: ・『女客』(泉鏡花/新潮文庫『歌行燈・高野聖』)
第4回近代文学ゼミ、今日のお題は鏡花の『女客』である。 登場人物は下宿屋を営む主人・謹と今は蒔絵師の女房である縁続きのお民。 一階に泊っているお民が葉書を届けに謹の部屋を訪れる場面から始まり、 2人は閉ざされた一室の中でお互いの心情を少しずつ露わにしていく。 本当に苦しい時、死にたい時にはお互いを心の支えとしていたことが分かった2人は、 一瞬のうちに秘めた想いを燃え上がらせ、恐る恐る寄り添うが、 急に階下で泣き出したお民の子供が2人の仲を引き留めるのである。
相手の出方を図るような、やや駆け引きめいた会話の連なり。 夫も子供もある身でありながら、別の男にも情をかけようとするお民の行動は、 きっと当時の女性像としてはかなり鮮烈な印象を残したのではなかろうか。 しかし、そんなお民もやはり様々な束縛には勝てず、元の形に収まっていく。 2人の仲は途絶えることはないが、もうあの瞬間が訪れることはないだろう。
お民のモデルは鏡花のイトコにあたるお照であるという。 鏡花が両親を亡くし、生活苦に喘いで何度も死のうと思うたびに引き留めた女性。 その後、作家として大成しても、鏡花の心に彼女の小部屋があったのだろうか。
ゼミとは関係なく、『高野聖』も読んでみた。 文学史の授業であれば、鏡花はこれさえ覚えておけば大丈夫と教えるであろう。 妖怪小説の名手が描いた現実と非現実の境界線は不気味なほどにリアルであって、 話自体は単純なのに、格調高く、調子もいい。さすが代表作と感心至極。
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