| 2001年12月20日(木) |
「紙屋町さくらホテル」 |
集中講義3日目、いつの間にか出席率50%に(さすがに院生は完全無欠だが)。 でも、人間の集中力なんて90分でもギリギリ持つか持たないかじゃないのか? ということで、2時間ぶっ続けで講義はやめてください、教授・・・
本日の1本: ・「紙屋町さくらホテル」(井上ひさし 作&渡辺浩子 演出)
毎回恒例の演劇観賞は井上ひさし代表作「紙屋町さくらホテル」を。 ・神宮淳子・・・森 光子・熊田正子・・・梅沢 昌代・浦沢玲子・・・深沢 舞 ・大島輝彦・・・井川比佐志・丸山定夫・・・辻 萬長・園井恵子・・・三田 和代 ・戸倉八郎・・・松本きょうじ・針生武夫・・・小野 武彦・長谷川清・・・大滝 秀治
この芝居は3つの場面が交差するように入れ替わる。 始まりは昭和20年、戦犯を裁いている最中の取調室にやってくる 元海軍大将長谷川清と、元陸軍中佐針生武夫のやり取り。 続いて、昭和20年5月にある使命を担ってホテルに潜り込んだ長谷川が、 成り行き上一緒に舞台に立つことになった移動演劇・桜隊の仲間との思い出。 そして、最後に桜隊と一緒に「無法松の一生」を演じている劇中劇。 井上氏はその3つの場面を綿密につなぎ合わせて、大きな流れを作っている。
この芝居は、たくさんの意味を含んだ評伝劇である。 まずは実在した丸山定男が率いる桜隊を通して、当時の演劇の在り方を描く。 「歌舞伎でもない、新派でもない、まして宝塚でもない、新しい演劇」を 作ろうとしていた当時の演劇人の姿が忠実に再現されているのである。 その中で、小山内薫を始めとする演劇人の指導法や言葉が織り込まれているのも 非常に観ていて興味深く思った点である。 また、もう一つは「どうして広島に原爆が落ちたのか?」の問いへの答えだ。 当時の日本が何を考え、どこへ向かおうとしていたのか・・・ その結果何が起きたのか、そしてその後どのように変化しようとしていったのか。 井上氏はそれらを再現することで、非常にアイロニカルな見方を示している。
最後の長谷川清の言葉一つ一つが痛かった。 海軍大将という地位に就きながら適切な処置を取れなかった自分自身は 戦争で死んでいった日本人の名代であると叫ぶ老人の慟哭が響き渡る。
「私を消しても死者は消えない、なぜなら死者は二度と死なないからだ」
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