集中講義2日目、今回の教授は大変生真面目な方らしく、 2時限目(10:30〜)から5時限目(〜17:40)まできっちり話していく。 それでも話し足りないというのだから、感服してしまうなぁ。
本日の1本: ・「父と暮せば」(井上ひさし 作&鵜山仁 演出)
井上ひさしの代表作品をビデオで視聴する。 舞台は昭和23年7月、広島で図書館司書をしながら暮している福吉三津江が 図書館利用者である大学助手の木下へほのかな恋心を抱く。 しかし、彼女は原爆が落ちた3年前から、自分が幸せになる権利を放棄していた。 そこへ亡父・福吉武造の霊が娘の前に現れ、恋の応援団長を引き受ける・・・ ・父⇒福吉武造(すまけい) ・娘⇒福吉三津江(梅沢昌代)
ネタばらしをしよう。 この作品は亡父と娘の二人芝居でありながら、結局は娘の独白劇である。 木下と幸せになりたいと願う自分と幸せになってはならないと自戒する自分。 2人の自分の間での葛藤の末に、彼女の父が姿を現したのである。 だから、彼女の父が姿を現すのはいつも彼女自身が悩んで助けを求める時ばかり。 彼女は決してショックのあまり気が狂ってしまったわけではない。 ただ、原爆で唯一の身内を失った彼女は、亡父に話しかけでもしなければ、 寂しさに耐え、今まで生き延びてくることができなかったのである。 亡父と娘の物語としても十分切ないのに、 すべて娘1人の独白だと気付く時、涙がこぼれそうになった。
井上ひさしはたくさんの原爆資料、特に被爆者の手記を集めた。 彼にとって手記はある意味バイブルであり、この作品にも多くの手記の内容が 散りばめられていることが作者自身の口で語られている。 その井上ひさしの思いの結晶を、考え抜かれた機知を解き明かしていく。 それは非常に興味深い作業ではあるのだけれども、
「こうして読んでしまうと非常に味気ないものになってしまうよね」
自嘲気味に先生が言った言葉がやけに印象深かった。
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