ヤグネットの毎日
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午後、宇治市内で開かれた市町村合併に関するシンポジウムに参加してきた。 定員400人だったが500人を超える参加者。関心の高さを示していた。
詳細は、メールマガジンでお伝えしようと思う。 日記では、シンポジウムに参加して率直に感じた感想を1つだけ。 基調講演で東大大学院教授の森田朗さんは、大要次のようなことを話された。
○平成13年度で国と地方の支出総額は、約163兆円。税収入は約半分の85兆円しかなく、あとは借金。こうした体質は国全体で666兆円の借金に膨らんだ。税金では返していけない。これ以上借金を増やさない方法を考えなければいけない。いま地方自治体は財源不足を国からの交付金や補助金で賄っているが、国の財政が厳しくなっている現状をはじめ、少子高齢化、右肩上がりの経済成長の終焉などの社会状況を考えれば、大胆な発想の転換が求められる。そのために、万能薬ではないが有効な方策の一つが市町村合併だ。 国からの押しつけではない、あくまでそこに住む住民の主体的、自主的な判断だ。
しかし、その後のシンポジウムで森田さんは、「合併しなければ相当住民に税負担を求めなければ、住民サービスは確実に低下する。合併をしてはじめて現状維持だ。」とも述べられた。
ということは、事実上、市町村合併しかメニューは用意されていないわけだ。
でも、ぼくは素朴な疑問がいくつも湧いた。
第一。国と地方あわせて借金は666兆円に膨らんだが、その原因は歳出よりも歳入=税収、が慢性的に不足している「体質」にあるという。 しかし、果たしてそうだろうか?いや百歩譲って、「それだけ」だろうか? バブル経済崩壊後も異常なまでの大型公共事業の推進をうたい、あるときは地方自治体に「借金のすすめ」までして大型公共事業をすすめさせてきたのは、誰だったのか? また、住民の福祉や教育をなおざりにして、大型プロジェクトをすすめる財源確保に血道を上げたのは誰だったのか? その当事者たちの深い反省と政策の根本的転換ぬきに、いくら「右肩上がり経済の終焉」や「少子高齢化」という状況説明をしても、有効な対策、答えが導き出せるだろうか? 今回のシンポジウムに参加しても、この疑問への回答は得られなかった。
この合併問題のスケジュールはどうなっているか? 平成17年(2005年)の3月31日までに合併を完了していれば、財政的な優遇措置を受けられるそうだ。この優遇措置はその後継続される見込みは少ないという。 事務手続きには、最低22ヶ月を要するという。1年と10ヶ月。今が14年2月だから、平成15年1月からは具体的な合併に関する手続きがはまる。 つまり、あと1年もない期間で、市町村合併をするか否かを住民自身が決めなければいけないわけだ。 これは、身近なくらしに引き寄せると決して他人事ではなくなる。 たとえば、4つの合併すれば市役所庁舎は4つあったのが1つに減らされる。 これまでは近くにあったのに遠くなる。区役所や支所のようなものをつくらなければ、お年よりなどには大変なことになるだろう。 なによりも、「なぜいま合併なのか?」「どんなメリットやデメリットがあるのか」「わがまちが合併されたらどうなるのか?」などをできるだけ詳細なデータを住民に示すことが急務だ。 そのために、ぼくも奮闘したいと思う。
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