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2006年11月17日(金) 年功序列と終身雇用


経営学がまた面白かった。今回はブランドのメリットデメリット組織の種類別のメリットデメリットを実例を使いながら説明し,最後に日本的経営も保守的な三大要素(米国の「Japanese Factory」という著(1950s)の中で記されたのがその語源)である年功序列・終身雇用・企業別労働組合についての説明が,なんかそういうのを経験している人ならではの説明なのがよかった。

終身雇用制の場合,今ではこれのせいでサラリーマンが勉強することをやめているんだ!日本の会社はぬるま湯だ!なんて悪くいわれている。しかし,これがうまくいった場合,その会社に定年まで勤めるわけだから,自然と会社の同僚と仲良くしないとまずいとなり,仲良くしようとなるらしい。具体的には同僚が仕事で困っていたら手伝ってあげるとか,そういうこともできるとしていた。また,その会社に一生勤めるんだから,自分のすべてを(少なくとも定年までは)会社のためになげうったほうがいろいろと都合がいいとなり,いわゆる企業戦士だとかモーレツ人間だとか,欧米では絶対にありえない(欧米の経営者はうらやむだろうし,労働者はいやだなと思うであろう)社員になることができる。

今後終身雇用制が崩れれば,困っている同僚をみても誰も助けなくなるだろう,すべて自己解決しなくてはいけなくなり,大変不利な状況がうまれるだろう,ということらしい。終身雇用でないということはいつクビになるかわからないんだから,同僚が仕事を完成させると評価によっては自分がクビになるかもしれないということを恐れてしまうというわけらしい。また,会社もいつ自分をクビにするかわからないところだということで,こっちも会社を道具や手段としてしかみなくなり,昔のように会社を目標や夢にするということはしなくなるだろうとも。

年功序列は,これは年齢という絶対にくつがえらない基準で競争しているとしてもっともあってはいけないといわれていて,自分も一理あるよな〜って思う。しかし,これがないと,部活のような先輩が後輩を教えるということができなくなるらしい。なぜなら,年功序列でないということは年下でも優秀なら年上にうってかわることができるということ。ということは,年下が優秀になられると自分の立場を奪われるということで,誰も後輩に物を教えようなんてしなくなるだろうということ。今後,会社で先輩に「これわからないんで教えてください」ときいても「なんで?自分で調べろよ」と返されることがおこるだろうと予測していた。年功序列があれば後輩が優秀でも立場はかわらないんだから,後輩にあれこれいろいろ教えることができる。ムダなこと意味不明なことを教えることもあるだろうが,多くの場合仕事上の重要な情報(営業で●●区の××さんが〜。開発でライブラリが〜。など)を安心して後輩に教え,共有することができる。それが,年功序列がなくなると,それすらしなくなり,自分で調べろという話になりかねないということだ。

企業別労働組合。欧米の労働組合は企業別でなく文字通りすべての労働者のための組合で,大変な力をもっているんだけど,日本ではこういう発想はない。企業別労働組合ですんでいる理由は,まだ年功序列・終身雇用をとっているから,企業とは自分の目標であり,この企業と職務のために一生をささげるという考え方があるからと思われる。これがこれから企業が年功序列と終身雇用をやめ,アメリカのように大量の利益をあげたあとに大量のレイオフなんてことをやりだしたら間違いなく日本労働組合なんてのができて,その組合員でお金をだしあって優秀な弁護士を雇い,裁判しまくるなんて社会になるだろう。解雇が不当だとして。ついで証人保護プログラムなんていうのもできるだろう。

つまり,年功序列と終身雇用は,実は経営的にみるとかなり優れた制度なんじゃないか?って思う。少なくともこれのおかげで戦後復興をとげることができたわけだし。とにかくクビとか,出世競争なんて心配しなくていいからおまいら日本とこの会社のことだけ考えろという発想なわけで,理屈にはかなっているような気がする。

単純な労働者の発想だと,あの若いやつのほうが(俺のほうがとか)上司にむいているような気もするよな,とか,あいつ仕事もできないのになんでクビにならないの?とかあるかもしれないが,ふかーいところで理由があるみたいですね。確かに,バイトとかやるとわかるけど,あまり仕事できないけどクビにならない人とか(たとえば俺)トンデモ上司なんてのはいるから気持ちはわかるんだけどね。

さらに…日本の企業は仕事のあたえかたがあいまいだが,これがかえっていい効果をうむこともあったらしい。たとえば,開発や技術のほうで雇った人でも人とうまく話せる能力があれば営業もやってもらうことがあるとか,ゲームでいえばプログラマとして雇ったんだけど音楽も作れるなら音楽のほうも担当してもらうとかそういうの。

欧米の場合はそのへんがきっちりしていて,職業というポジションに絶対に1:1対応になるように人を雇う。人事部とは,人間と職業をわりあてる数学的関数
じゃないか?って思うほどきっちりしているらしい。

つまり,日本の場合は人間に仕事をわりあてていて,欧米の場合は仕事に人間をわりあてるって発想なわけね。だからその職業が必要なくなれば大量にレイオフしまくって訴えられてるわけね。このへんは人の能力に対して仕事をわりあてるようにすれば,その人の能力次第ではレイオフしなくていいとなり,もう少しレイオフ人口減るかもね。このへんは日本的経営を連中は見習うべきだと思う。

ではでは。

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