Mother (介護日記)
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2001年08月01日(水)    道徳

今朝は7:30に母からの電話に起された。
その時間には起きろよ、って? それもそうだけど。 今日は休暇だし。

母が言うには
「テレビカード(度数)がなくなったので、同じ部屋の人にお金を借りた。
 すぐになくなっちゃうと困るから、2枚買った。
 借りた¥2000と、何か買う時に困るから¥3000、合わせて¥5000を持って来て」

はぁ? 他人に気易くお金を借りるんじゃないよ!
ましてや、昨日初めて会ったばかりの人なのに・・・

まったく油断できない母である。 こんなんだから、目が離せない。
歩行許可も良し悪しである。

母は一見、普通に見える。 普通に見えて何を言い出すかわからないから困る。
だから同居だけじゃ無理で、私が仕事を辞めなくてはいけないハメになるのだ。

私もテレビカードの度数は気にしていて、毎日チェックをしていたのに・・・
昨日に限ってあわてて帰った為に、チェックしていなかったのだ。
私がきちんと見てあげるべきだけど、それにしても、たった1晩待つことが出来ずに
初対面の人に平気でお金を借りるなんて、非常識にもほどがある。

前にも日記に書いた気がするけど、
母は、郵便局にお金を下ろしに行って、印鑑が違っていたのに、
「あら困る。私は○分の電車で、医者に行かなきゃ行けないんだから・・・
 ちょっとアンタ、お金貸して」 と言って、局員に借りたことがある。
(昔からの顔見知りだったから、貸してもらえたのだけど)
私が郵便局に行った時にその話しを聞いて、お詫びしてお返ししたのだけれど・・・

そんなことで、今日は面会に行ってすぐに、
お向かいのベッドのSさんに借りた¥2000をお返しした。

「大変申し訳ございませんでした」 と言うと、
ご夫婦ともに
「いいんですよ、私が動けないので、
 ついでにうちの分も買ってきてもらったんですから」 と優しく言ってくれたのだけど
「母はやさしい方に恵まれていて、
 こういった非常識がどこでも通るものだと思っているので困るのです」 と話した。

こんなところで、借りた返したなんてもめごとを起されてはかなわない。

母はよく「親しき仲にも礼儀あり」 と言っていたが、
今日は、ノートにそれを書いて来た。

「他人にお金を借りることは、信用を失くす第一歩です。
 “親しき仲にも礼儀あり”であるならば、親しくない人ならなおさらのことです」

こうやって、何か問題を起すたびに、注意をノートに書いてくるのだけど、
書いているうちに動悸がしてくる。

しかも母は、Sさんから5千円札を預かった為、テレビカードの自販機では使えず
売店で大騒ぎをしたらしいことは、Sさんご夫婦のお話からそれとなくうかがえた。

私はきっと、ムッとした顔でノートに向かっていたのだろう。
Sさんが話し掛ける。
「○○さん、いいわねぇ、お嬢さんが来てから食欲が出たじゃない?
 さっきまでは時計ばかり見ていて、ちっともお箸が進まなかったけど」

なんというやさしい人だろう。 なかなかできる心遣いではない。
これは母に話し掛けているのではない。 私を和ませようとして言ってくれたのだ。

よく“ひとりで大きくなったようなことを言うな”と言うけれど、
私はこんなことでどれだけ母の尻拭いをしてきたことだろう。
子供の時から、近所の商店などで
「お宅のお母さん、○日の○円、まだ持ってきてないよ」 と言われて来たのだ・・・

親戚の人からだって、
「あんたのお母さんがこうだから、一緒にいて恥ずかしい」 というようなことを
何度も言われて来た。

まぁ、身近にそんな困ったちゃんがいたので、今の私があるのだろうけど・・・
ときどき情けなくてイヤになってしまうのも仕方ない。


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