Mother (介護日記)
Index|Yesterday|Tomorrow
母はとにかく、一瞬にして忘れてしまう。
今朝から何度、同じことを言っただろうか・・・ 『今日は検診の日だったっけっか?』 『今日は絹江の誕生日だったっけっか?』
あまりにも疲れるので、大きなネームプレートに今日の行事予定を書いて首にかけてあげた。 こんなふうにしてみたのは今日が初めてだが、見栄えの良いものではない。
それでも数分後には、そこに書いてあることも忘れてしまうのだから、 まったくもってやり切れない。
今日も内科はとても混んでいて、予約から1時間後にやっと名前が呼ばれたのだが、 診察室に誘導しようとしたら 「どこ行くの? え? 私が診てもらうの?」なんて言う始末。
このあいだは絹江が診てもらい、今日も私が先に診てもらったので、 本来は自分の用件で来ているという認識が薄れてしまっているのかも知れないのだけど。
診察室の中の椅子で待っていると、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきて、 カーテンの向こうの看護婦が、電話で救急隊員とのやりとりを始めた。 患者の性別、年齢、容態、新患かどうか・・・ そして、数人の看護婦が忙しなく行き交い、急患の対応に誰が付くのかを話し合っている。 担当医も席をはずしたようで、気配が感じられない。
母は診察室の中の椅子で待っている時間が長かったので、これまた調子が狂ったようだった。 ずいぶん待たされてやっと診察の順番が回って来た時には再び、 「え? 私が? どこを診てもらうの?」と、まるでわかっていなかった。
それでも担当医の顔はちゃんと覚えていて、ご機嫌で挨拶をしていた。
血圧と血中の酸素濃度に異常はなし。 「調子はどうですか?」と聞かれた。
背中の痛みについては、薬が効いているのか、最近言わなくなった。 咳も落ちついている。 それよりも、頭の方が問題だ。
私が母の破滅的な?記憶について話すと、担当医は 「ステロイドの影響(多幸症)もあるだろうと思うけど、 今回からステロイドの量を減らしていきますから、 それで顔の方(ムーンフェイス)も合わせて、落ちついてくるんじゃないかと・・・ それから今回は痴ほうの薬(アリセプト 3mg)も使ってみましょう」と言った。 「ただし、弱いからあんまり効かないとは思うけど・・・」 (-_-;)
担当医は、内容が内容だけに本人の前なので、やや控えめにそう言ったが、 果たして母には聞こえているのかいないのか・・・ とにかく、聞こえていないと思うと聞こえていたり、 わかったと思っていると、まったく理解できていなかったり・・・
担当医はそんな母のことを、最近は 「ふざけているのか、本当にボケてるのかわかんないよ^_^;」と言う。
|