Mother (介護日記)
Index|Yesterday|Tomorrow
最近、思い出したようにお経を唱えたり、父の遺影に話しかけたりするようになった。
母には、懸命に信仰していた時期があった。
それが、父が亡くなってから薄れていった。
母はいつも「元気で長生きできますように」「○○できますように」と祈ることが多かった。
特別信仰心もなかった私は、 それを見ていて「お願いごとばっかりじゃん」と揶揄したことがある。
“お祈りすれば、かならず叶う” と思っていた母であるから、 父が病気になった時には、それこそ一生懸命にお祈りをしたし、 信仰に全く興味のなかった父本人でさえ、手を合わせるようになっていた。
しかし、世の中、そんなに甘くはない。 あれほどのお祈りを捧げたのに、父は亡くなってしまった。
宗教的には、そりゃ、いろいろ解説はできると思うが、 母はそこで覚めてしまった。
それ以来、母は、宗派の象徴には特別頼らず、父に手を合わせるだけになった。
去年、母のアパートを引き払ってから、母の部屋に父の遺影と位牌を置いてあるのだけど、 母はすっかり忘れているようで、手を合わせることも話しかけることもなくなっていた。
父が亡くなってから、来月で、もう30年になるのだ。 まぁ、そんなものか、と思っていたのだが・・・
体調の悪さが不安なのだろう。
|