騎馬民族

2002年04月28日(日) 【4月27日】満月とビンビール

夕方にミトさんの実家に着いた。

10分で周れるんだよ。と言ったミトさんの町は
実際には車で10分かからないで終わってしまう町だった。
予想を上回っていたけれど、最後の29日までずっとずっとスゴイことだらけだった。

ミトさんの実家の裏庭に行くとおじさんが作った階段があって、そこを降りると涌き水が流れている。
その涌き水で山ワサビを育てていて、もう「10歩」降りると大きな沙流川が流れている。
向こう岸に馬の親子が草を食んでいてその向こうには神社がある。その神社までも歩いて5分。

茶の間から馬の親子が見えるのだから、その近さが分かるであろう。

マメという可愛い犬をミトさん家で飼っている。
着いて1時間後にはマメちゃんとミトさんと散歩に行き
ミトさんの家もすっかり見える神社に行ってお参りをした。

その神社にあるジャングルジムの上に座るのが私のお気に入りになった。

ジャングルジムの上から見る景色はそれはそれは最高で青い空と春の山。
ミトさんの家、大きな沙流川と馬の親子。
左を向いては空があり、右を向けば雪の残る日高山脈が見え
真中を見ると大きな川が流れているのだから
目に映る全てが1枚の絵のようで、2泊3日の朝と夕方は
マメちゃんの散歩に張り切って出かけた。

その風景の中に何度か人や車が映ったけれど
殆ど誰にも会わなかったし、車で移動して人を見かけても
後姿を見ただけで「○○さんだ。」等と分かるくらいで、
迷子になったら「ヤスさんの家はどこですか。」と聞きなさいと
言われていた。

マメちゃんと仲良しになれたのも幸運なことで
マメちゃんは余り人になつかないらしいけれど
毎日1時間は散歩に出かけ、ジャングルジムや沙流川、芝生の上に座り
夕焼けに染まる山と空、神社の大きな桜を見ていた。

景色全部が私のモノのような時間。
時間の流れが無いようでこんなステキな花見ができたことを
本当に宝物に思う。

おじさんのアトリエがある。
外に専用の台所があり、マキが積まれている。

晩御飯になり「飲めるんだろ?」と
ビンビール2本を両手にかざすおじさん。
「はい(笑)」と言うと満足そうなおじさんは
採って来た山菜の天ぷらやおひたしを食べさせたくてしょうがない。
「早くしろ。」とおばさんを急かし「ウドの葉も揚げろ。」とおばさんを
急かす。
「身体は1個しか無いんだよ。」と言いながらおばさんもたくさん作ってくれる。

それをミトさんと私で美味しい、美味しいと食べ
全部がおじさんの採って来た山菜であること、
明日には私も一緒に山菜を採りに行くことにワクワクした。

ミトさんの親友のコッコさんも遊びに来た。
コッコさんと私、そしておじさんはビンビールと焼酎を散々飲み
おじさんは私達を1件だけあるスナックに連れていってくれた。
スナックは歩いて3分の所で、余りの近さに笑ったし
楽しい気持ちでいぱいだった。

スナックに一人いたお客さんもやっぱり町の人だから
私達はビールを飲みながら歌を歌った。

おじさんは滅多に歌を歌わない人らしい。
そのおじさんがマイクを握って本当にちっさいステージに立った。

嬉しいと喜ぶミトさんはシラフだし、そういうキャラの私とコッコさんは
抱き合って踊り出した。
コッコさんと私はおじさんの真横で抱き合いながらクルクルと笑いながら踊った。
歌を歌ってるおじさんが全く私とコッコさんを見てくれないのを良いことに
もっと真横でクルクル回り面白くてしょうがなかった。

歌が終わった後、おじさんがそのままアカペラで歌いはじめた。
その曲は2番まであり、ミトさんも初めて聞く曲だと言っていたけれど
スナックのママは昔大流行した曲で、ヤスさんは滅多にこの曲を歌わないし久し振りに聞いたと驚いていた。

お店に居た私たちは手拍子をしながらその曲を最後まで聞いたけれど
おじさんの飾らなくてあったかい歌と、力強い声、娘が帰ってきたことの嬉しさや
美味しいお酒になったのかなぁとか、昔を思い出してくれたのかなぁと思ったらなんだか嬉しくてちょっとだけ泣きそうになった。

2時間くらい居て外に出た私達はさっきよりも嬉しかったし楽しくて
そのままおじさんのアトリエに行った。
おじさんのアトリエにもビンビールがあり、マキストーブに当たりながら
ビールを飲んだ。
マキストーブも肌が焼けそうにあっつくなってきたので
満月を見に行こうとビールを持って外に出ようとしたら、コップが無いので
一人ひとビンを持ちビンビールのまま外を歩いた。


コッコさん:さえちゃん、見てご覧! 月がこんなに綺麗じゃないかぁぁぁ
      
ビールを持ちながら月を指差すコッコさん。

さえ:本当だ。今日は月が綺麗だよ。...おとっつぁん。
  
       おとっっつぁぁぁぁぁん!

膝をついてコッコさんの腰にすがり月に手を伸ばす私。
おっかしくてまた笑っていた。

次の日に話を聞けば、隣りの人の裏庭でやっていたらしく
ミトさんの家の裏庭だとばかり思っていたので、思い出すとまた面白かった。
そんな感じでコッコさんをミトさんの運転で送りに行き
今度はミトさんと二人でいろんな話をした。
なんの話をしたか忘れたけれど、私はテーブルの上にあった
山菜や天ぷらをビールを飲みながらもりもり食べた。

二人でフトンをひいて話をしていたら、おやすみという間も無く
コテッと寝てしまった私にミトさんはビックリしたらしい。
私はフカフカのフトンで幸せな気持ちを感じる間も無く
次の日に起こるであろうワクワクなことを考える間も無く
眠りに落ちた。


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sae [MAIL] [夢地球]

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