↑↑how do you feel ?↑↑
My追加






メロディの無い詩集        by  MeLONSWiNG
メロディの無い詩集        by  MeLONSWiNG
INDEX前の詩へ次の詩へ


温 度 差 2004年03月09日(火)


横一列に手を繋いで
陽気にスキップしながら
丘の上まで駈けてゆく
当たり前の笑顔で

走るのが苦手な子たちは
足が痛くて泣きたいけど
置いていかれるのがイヤで
ずっと黙ってた

みんな前しか見てない
先生は前を見なさいと言うから
その言葉だけ鵜呑みにして
隣の子の涙に気付かない
仲良しなのに誰も
仲良しなのに誰も
仲良しなのに誰も

みんなで乗り込んだ舟は
リズム合わせてオールを漕いで
向こうの島に向かって進む
日が暮れるまでに

腕の力の足りない子たちは
漕いでるうちに辛くなってきて
痛みが耐えられなくなってるけど
ずっと黙ってた

みんな前しか見てない
振り返ることをおそれてる
痛みに腫れあがった身体に
気付いて上げる人はいない
仲良しなのに誰も
仲良しなのに誰も
仲良しなのに誰も

バランスを崩した船は
右へ大きく逸れて
あの島から離れてく
気付いたときには
もう夕暮れ

『島まで泳ごう』と誰かが言った
次々にみんな海に飛び込んだ
寒くなって凍えてた子たちは
水の冷たさに飛び込めなかった

寒がりの子たち、風邪をひいた子たち
腕や脚の痛い子たち
とり残された舟の中で途方に暮れて
肩寄せ合って泣いてた

舟は海流に流されて
見えないところへ消えてゆく
泳ぎ切った子たちは
『どうしてこなかったの?』と首を傾げる
仲良しなのにどうして
仲良しなのにどうして
仲良しなのにどうして
泳いでくればよかったのに?って


melonswing |HOME PAGE