思い立ったが吉日

2013年04月15日(月) ドラマ『レディ・ジョーカー』


またひとつ楽しみにしていた作品が終了した。
先月からWOW×2で放送されていたドラマ『レディ・ジョーカー』である。
原作は言わずと知れた高村 薫氏の合田シリーズ。


警察組織の在り方と自身が理想とする警察官とのギャップに苦悩し、自分なりの正義を
貫こうと足掻き続ける合田雄一郎と、そんな彼を陰ながら見守り続ける親友であり元義兄の
加納祐介の秘めやかな心情と余人には計り知れない心の機微がこのシリーズの隠れた
テーマだと勝手に解釈しているのだが、私の見解と嗜好はこの際置いておく。
 

下手な鉄砲も数撃ちゃ何とかで右も左も原作付きドラマが溢れ返っている昨今、原作ファンの
イメージを損なうことなくドラマとして成立する作品は少ない。
たいていキャストの段階でこんなの私の○○じゃない!とか、どこをどうやったら
こんな内容になるんだ責任者出てこい!的な仕上がりになっている。
いくら原作に人気があって固定ファンがついていようと、人気俳優と芸能人を集めただけの
その場凌ぎな作品に改悪されただけであれば、固定ファンはもとより新規ファンなど獲得
できるはずがない。
ああ、今でも思い出す。あの時の屈辱!


そんなわけでメディア展開(とくにドラマ)に対してあまり好意的ではないのだが、中には
作り手側の熱意と原作への想いに満ち溢れた作品もある。
この『レディ・ジョーカー』がそのひとつだ。
厳密に言えばメインキャストも原作のイメージどおりではないし、登場人物や設定なども
多少変えてあるけれど、脚本と演出と音楽のクオリティが素晴らしく高い。
何より役者陣の演技が見る側を惹きつけてやまない。


とくに上川隆也さん演じる合田と豊原功補さん演じる半田のやりとりが、物語が佳境に
なるにつれ狂気じみていく過程がたまらない。
最終話の公衆電話ボックスでのガチンコ勝負に至っては興奮のあまり邪なフィルターが
起動。
思わず「なんて熱烈な返事なの、半田さん」と呟きそうになったじゃない。
隣に母親がいたので自重しましたが(苦笑)


たまには雰囲気を変えて書こうと頑張ったけど、所詮、根っからのヲタク&腐女子なので
硬派な文章は書けませぬ。
やはり人間慣れない事はするもんじゃないですね。
反動で押さえていたアレやコレまで惜しげもなく書きそうなので普段のテイストに戻します。


概ね納得のいく出来ばえでしたが、合田さんが加納さんの元を訪れて心情を吐露する
シーンで自分の感情に気付いてしまう部分がカットされたのが惜しかった。
あれがあると無いとでは、その後の病室でのやりとりに違った側面が見られるのに
勿体ない。
でもまあ、バリバリ硬派な社会ドラマで仄かに芽生えたホモ要素をやるわけには
いかないか。
あくまでも精神的ホモだけど(笑)


うっかり自分の感情に気付いてしまった合田さんのその後を早く読みたい。
先生、あと何年待ったら『太陽を曳く馬』は文庫化されるんですか?
本庁に復帰した合田さんの病みっぷりを読みたいです。


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近江まほ [MAIL]

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