日記でもなく、手紙でもなく
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2001年10月07日(日) |
神戸ポートアイランド線 |
京都から、神戸の中心三宮までは、新快速で約50分、梅田の大阪駅からだと、たかだか20分程度の時間で着いてしまう位置にあります。 それでも、阪神大震災の前の10年近い期間、そしてその後今年までの期間、神戸まで行くことがありませんでした。京都や大阪へ行く時というのは、ほとんど(観光的要素のない)用事で行くということばかりしていたような気がします。 神戸まで行ってみようか、そんな気分的なゆとりのようなものを、やはりどこかでなくしていたに違いありませんが、たぶん、忙しいので神戸まで行く機会がなくて、などという言い訳を自分の中でしていたのだろうとも思います。
もっと若いときは、私にとって神戸というのは、大阪以上の魅力を湛えていた街でしたし、年末に刺すような冷たい風が吹くにもかかわらず、わざわざ六甲山ホテルへ泊まりに行ったり、その後で六甲おろしの吹く神戸の街を、元気に歩き回っていた記憶もあります。 就職して初めてのゴールデン・ウィークには、元町から近い、ポートタワーのすぐ横にあったタワーサイド・ホテルに2泊して、そこを中心に神戸駅の周辺から三宮まで、かなりくまなく歩いた記憶もあります。
ほとんどご無沙汰していた神戸ですが、法事の翌日に三宮でお昼に人と会う予定を入れておいて、三宮に着いたのが11時少し前の時間。ちょうど1時間ほど空き時間ができましたので、私の記憶の中の神戸ではまだ走っていなかった、ポートアイランド線に乗り込んでみました。 一番前の車両の、運転席に見える場所のすぐ後ろの席にこしかけると、運転手のいないまま電車が発車し、自動運転のアナウンスとともに、そこに展開されていく景色に見入ってしまいました。
立ち並ぶ高層のアパートやマンション群を見ながら、南公園や埠頭を通り抜けて一周し、もと来たポート・ターミナル駅で再び合流し、そこからは三宮駅まで同じところを辿っていきます。
三宮で乗り込んだとき、私の前の席にリュックを背負った小学生とその母親が座りました。 どこで降りんのかわかってんの?という母親の問いかけに、首を大きく縦に振った男の子。その2人は、観覧車が一番近く見える南公園で降りました。この辺で、ポートピアをやっていたのだろうな、そんな推測もそれでできました。ポートピアというと、本当にずいぶん前のことになってしまい、それには行かなかった私には、そのポートピアというのが、一体何であったのかすら記憶から消えかかっていました。
少しまだ時間の余裕があったので、ポート・ターミナル駅で降り、外へ出ると、釣り人が数多く糸をたらしているのが、少し上から良く見えます。良く晴れ上がった日で、日なたは少し暑いくらいの日。吹く風が気持ちよく感じられます。 釣り人をぼんやり見ていると、ハゼでしょうか、よく魚も釣れていて、本当にのどかな雰囲気。 そこから見える六甲の山並みも、その下に展開する神戸の街も、学生の頃に来て神戸港を見下ろしたポートタワーもそのままのようで、一見すると何も変わらないように見えたりもしたのですが......
人気のないホームまで戻ると、後から一人男性が上がってきました。 「昔、ポートピアやってたとこは、どこで降りたらええんですかな?」 私も旅人ながら、「遊園地のあるところでしたら、南公園でしょうか。」すらすらと答えてしまいました。このアイランド線を一周して、その時、少しだけ知ったかぶりのできる旅人になっていたようです。
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