日記でもなく、手紙でもなく
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今年は、二人の日本人がノーベル賞を獲得、史上初めてのダブル受賞ということで、日本の中をちょっと湧かせていたりする。 これはこれで、教育の見直しにつながればこれにこしたことはない。
ところで、ノーベル賞の経済学のほうでは、プリンストン大学のカーネマン教授がその受賞者の一人。 トゥヴァースキー&カーネマンという二人のコンビによる実験経済心理学の論文というのは山ほどあって、どれもなかなか実験計画の着眼点が優れているのと、人間の経済行動というのが、合理性だけで動いているわけではないこと、しかも経済的選択行動の中に、非論理的な法則を見出した人として、この二人の名前は忘れることはできない人も多いだろう。
トゥヴァースキー氏のほうは、残念ながら既に1996年に他界しているという。カーネマン氏にしてみれば、お互い刺激し合うことで論文を生み出していったに違いなく、その意味ではもう少し早くノーベル賞を貰えていたら、という思いもあったのではないかと、そんな風にも考えてしまう。
どん底まで、どんどん落ち込んでいきそうな世界経済が見えているにもかかわらず、どういうわけか、経済合理性を錦の御旗にしてまだまだ経済政策が語られ、採用されていく。米国だけではなく、日本においても全く同じことである。しかし、それをやっていても、どうも経済はこれ以上良くなる気配もない。 非合理性の要素が見落とされている、のかもしれない。
とすれば、カーネマン氏のノーベル賞受賞が、少なくとももう5年ほど早ければ、本当は(特に日本にとって)良かったのかも−−という思いも、もう一方では残されてしまうのだ。
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