☆言えない罠んにも☆
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2005年12月15日(木) 良くない思い出作ろう

念入りにホットカーラーで巻いた髪は、北風に吹かれて、駅に付いた頃にはもう跡形もなくまっすぐだった。先月シャンプーを代えてから、ぼくの髪はすこし丈夫すぎる。
ガラスの窓に映ったぼくの姿は、表情に張りがなかった。下ろしたてのディオールのマフラーもあまり似合っていない。

滅多に使わない私鉄の乗り換えに多少戸惑って、予定していたよりも遅れて目的の場所に着く。予想よりも遅く始まるみたいで、ぼくはそれまでまま壁にもたれて、サマセット・モームの”BOOKS AND YOU”を読んでいた。

後輩を数人見かけた。なかなか話す機会のない人の中では好感と興味を持っている人たちだったけれど、なんとなく弾みがつかなくて、会釈だけですませ、ホーソーンへの辛らつな批評の章へ戻った。
(『緋文字』のストーリーはどうしても賞賛できないけれど、それでも分の技巧的な上質さに触れることは価値のあることではある、というかんじね)

会場は地下のライブハウスで、ステージにはドラムのセットとかピアノとかが並んでいた。
久しぶりに見る知り合いと、このあいだ会ったばかりの友達がいる端の席についていてすこし会話をし、
後から来た友達に誘われて最前列の席に移った。ぼくは紙コップでオレンジジュースを、その子はガラスのグラスでワインを飲んでいた。

演奏が始まった。歌手は頭にオレンジ色のお花を飾って、黒いドレスにファーを絡み付けた姿でピアノを弾き始めた。
歌声が、ぼくをつつむ空気にとけて、耳から出なく、皮膚が音を吸収している気がしていた。歌詞はほとんど頭に入ってこなかった。
かすかに「ブランデーとグラスと鍛高譚」というフレーズは残っている。しかし心地よく蕩けていられるのは悪くない。
with your way.

今夜の催しはこの歌手の記念碑的リサイタルで、関係者のスピーチがいくつかあった。
人的資本の蓄積やシグナリング以外の「がくせいせいかつ」について数点の示唆と、
契約とその表明、及びその波及効果についての思索を促すものがあった。
(結婚式するのは働いていて職場の同僚と上手くやってるときにしたい。と思った。)

パッショネイトなギター演奏や、とびっきり上等のマジックショーがあった後(感激しうっかり周囲をわすれ興奮してしまった)、
歌手は赤いボリュームたっぷりの襞スカートに着替え、コンサトは佳境に入る。

ぼくが密かに愛好していてお気に入りリストに入っているこの歌手の持ち曲がその作られた
エピソドにつづいて披露される。ぼくはそれがやっぱり気に入ってて音量ミュート、口の形だけでハーモニー追ったりして、なんだかとってもうれしくなった。とても素敵な曲だ。

終了へのカウントダウン。降り注ぐクラッカーシャワー。
ぼくたち観客は、手を高く掲げ拍を打ちながら、歌に加わる。
War is over if you want it.

そう、望まなければ、何も始まらないの。



友人と帰りにとても重要な話をして、いろいろ考え込んでいたので記憶があいまいだー



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