昨日、4月8日花組のトップスター匠ひびきが本拠地宝塚を卒業した。 こう書くとただ普通のさよなら公演千秋楽。 だけど私にとって・・・特にチャリオのファンだったワケでもない私にとって 一番哀しくせつない日になった。
トップスターの千秋楽を見るのは初めてだった。 だからさよならショーというのもとても楽しみにしていた。 “あのこと”を聞くまでは・・・・・・。
その日、少し興奮気味の客席につき、 「チャー、大丈夫かな?階段降りれるんかな?」と話しながら開演を待った。 ブザーが鳴り、開演のアナウンス・・・と同時に大きな拍手。 そして音楽が鳴り、幕があがった。 チャーがこちらを向いた瞬間「違うっ!!!」もう顔がいつもと違っていた。 割れんばかりの拍手。 舞台はいつものように・・・まるでいつもと変わりないように進んでいった。 違うのはチャーの動き。 決して走らない・・・小走りもない・・・。 足をあげない・・・ターンもしない。動きが最低限である。 緊張したまま全身に力が入ったまま見ていた。 クライマックス、チャークロードの顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
気が抜けたように幕間を過ごし、ショーとなった。 最初はオサ・あさこ・ゆみこ・らんとむ・・・で普通。 チャーが現れて・・・暗転・・・そしてパーンと華やかに・・・。 もう・・・ホントにチャーは動きに合わせているだけだった。 でも銀橋には出るし、流れはこなしていた。 ただ、ソデに入るときに・・・まるでソデカーテンを手繰り寄せるように カーテンをつかんで入っていた・・・そういつも。 どのシーンも周りがいつもの何倍も踊ってチャーを盛り立てていた。 みんな笑顔だけど・・・不安を抱えた笑顔だった。 笑顔すぎる笑顔だった。 みんなチャーを見ていた。ずーっと見ていた。 チャーリーバーの「ねぇ、マスター、ここに来て何年になるかな?」というセリフに 「みんなに夢と希望を与え続けた15年ですよ。」と答える組長。 拍手喝采とともに客席が涙に包まれた。 いよいよショーもフィナーレ。 みどりが歌う中、大階段をあがる、チャー。 拍手・・・。でも足元を探るような足取りだった。 そして黒燕尾で降りてきた・・・。やはり探るような足取りで・・・恐る恐る。 もうノドの奥が痛くなって・・・涙が出て仕方なかった。 そしてグランドフィナーレ。 大きな・・・大きな羽根を背負ったチャー。 音楽がなっても現れない・・・・・・少しして現れたが音楽に間に合わない。 5段くらい降りたところで止まってしまった。 そこで歌・・・・・・・スポットが当たらない。 そして歌い終わったチャーはまるで勢いに任せて・・・という感じで舞台に降りきった。 すごい拍手だった。 大きな羽根大きな羽根。こんなに羽根が大きいと思ったのは初めてだった。 おじぎもできないチャー。頭をぺこっと下げるだけ。それが精一杯。 幕が降りた・・・・・・。 さよならショー。 『アジアンサンライズ』から少しと『白い朝』・・・舞風りらちゃんと踊り、 この時彼女は泣いていた・・・『チャンピオン』で幕。 ショーの時から途中何度も「チャーリーっ!!」という掛け声が客席からあがった。 本当に何度も何度も。これほど掛け声がありがたいと思ったことはなかった。 何度もそれに応えようとがんばってみるチャーがいた。 でも限界に近かったんだと思う・・・。 フラついたり、大階段に手をついてしまったり・・・見るに耐えなかった。
そして挨拶・・・・・・。 桜花れいや・鮎川なつき・達つかさ・楓沙樹・貴月あゆむ・・・そしてチャー。 「では匠ひびきです。みんなっ!!!」という組長の声に 上手側・下手側の下級生が10人くらいずつ大階段へ駆け上がって行った。 そして逆Vを作り(一番高いところを狭く・・・)組子全員で名前を呼んだ。 「チャーリーっ!!!」 静かに現れたチャーは下級生に手を預けて・・・静かに少しずつ大階段を降りた。 横一列に並んで・・・・・・前代未聞だった。もう涙で見えなくなっていた。 そしてゆっくりと本舞台にたどり着き、組子が元の位置に戻り、 組子と同級生からの花束・・・となった。組子はオサ。 ぎゅっと抱きしめられたオサ・・・それまで涙は流していたものの、微笑をたたえていた。 なのに泣き崩れてしまった・・・下をうつむいたまま顔を上げることができない。 そしてマイクの前に歩み寄ったチャーの第一声 「3日前から足が動かなくなりました。」この時客席は悲鳴に包まれた。 「早くこのマイクの前に立ちたかった。」自分の状態をちゃんと伝えたかったのだと思う。 「私は泣き虫で、弱虫で・・・同期の中でも一番年下で・・・。 でもみんなに支えられてここまでやってくることができました。 今回、オケや裏方さん・照明さん・・・その他いろいろな方に助けてられました。 そして客席から励ましてくださったファンの皆様、ありがとうございます。 それから・・・(くるっと後ろを向き、組子一人一人の顔を見ながら) みんなありがとう、ありがとう・・・。」とそんな感じの挨拶をした。 ショーの時から泣きっぱなしだったチャーも更に泣いていたけど このとき組子たちはみんな泣いていた・・・下級生はチャーの顔さえ見れなくて うつむいて泣いていた・・・。客席はずっと悲鳴に似たすすり泣きだった。 客席全体を見るようにして「ありがとうございました。」と挨拶。 そして『さよなら皆様』・・・幕。 カーテンコールは2回か3回・・・。 最後にはスタンディングになって、誰もが泣きながらエールを送った。 「チャーリーっ!」という叫び声もたくさんあった。 チャーはもう言葉もなく・・・「ありがとうありがとう。」と何度も言っていた。 その時舞台の上から紙吹雪が舞い落ちた・・・・・・。 こんなに苦しくなるくらい泣いた公演は初めてだった。 悲痛な叫びの中にいたようだった。 パレードを見る勇気がなかったので、あとで友人に聞いたところ プロデューサーに手をひかれて・・・少し歩いたそうだ。 友人いわく、前楽はフィナーレで音楽が全く間に合わなくて 何度も何度も同じトコロを繰り返し、チャーが定位置に来るまで オケがあわせたらしい。 なんでも1週間前に熱を出し、そこへさよならショーとリサイタルのお稽古が重なり、 疲労が過労になり、腰を痛めて・・・足にきた・・・という。 あとで友人たちと話しながら・・・また涙が止まらなかった。 今もやっぱり泣いている・・・。 今日精密検査を受け、今後の予定を決定するそうだ。
腹がたったのはメディアサイトはちゃんとチャーのコメントを記載していたのに 劇団の公式では「3日前から足が動かなかった。」のコメントは一切されていなかった。 ・・・というか今回のことに関しては触れられていなかった。 隠そうというのではないだろうけどなんだか腹が立った。
ショーの時、チャーがみんなの方を向いて涙を拭った時の組子たちの笑顔が忘れられない。
シリメツレツになりました・・・ごめんなさい。
|