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2002年09月26日(木) 土から生まれた姫君(5

「最近、樹の様子がおかしい」
婆様と爺様は
高い秋空をぼんやりと見つめる娘の様子が
まるで、昔話のかぐや姫の様で
自分達の元からいなくなってしまうのではないか
そんな不安な毎日を送っていたのでした。
その日。
一人の若者がその一帯の庄屋の彦太郎に連れられ
樹と老夫婦の屋敷を訪ねました。

この辺り一帯のシキタリ"で
身籠った女の居る家に旅人を泊めてはいけない。
そんな擅テがありました。
庄屋の長男の嫁が今、身籠っており
この人はお代官様の命を受けて
旅をしているお役人様
へたな所へ泊める訳にもいかない

だから、あんたの所へ泊めろ!

と、やや強制的に言ったのです。
老夫婦は
[お役人だし、更に旅人だし、おにぎりみたいな顔のこんな陽気な人を娘は選ばないだろう]
と、かなり失礼な事を考えた後に
笑顔でお役人を家に招きました。

「お名前をお教えいただけますか?」

『私、福島雅真と申します』

若者は満面の笑顔で答えた。

つづく


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