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2004年11月21日(日) 魔法

 コンサートのインターミッション中、ふと、変な物思いにとらわれました。

 子どもの頃、自分がやり方を知らないことを他の人が上手にやっている所を見ていると、まるでその人が「魔法」を使っているように見えていました。
 例えば母のやっていたお料理。運転。
 例えば父のやっていた会社勤めそのもの。
 例えば友達がこなしていた難しい算数の問題。
 速く走ること。二本の縄跳びで跳ぶダブルノット…きりがありません。
 その「魔法」には、いずれ自分が頑張れば、或いは時間さえ経てば習得できるだろうとおもっていたものと、あまりにすごすぎて自分には習得できなさそうだとはなから諦めていたものがありました。(…運動系はさっさと諦めた部類です…)
 で、「いずれはできそう」とさえ思っていれば、成長するに連れて色々な事を覚えていくうちに「魔法」は一つずつ消えていきました。当然なのだけど、「手順」が見えた時点でそれは「魔法」ではなくなり、「覚えればできること」になり、興味さえあればそれらを覚えていったのでした。だからある時期の自分は、「魔法」をだいぶ感じなくなっていたと思います。

 でも大人になった今、私はまた、「魔法」をいろんな所で見ている気分です。子どもの頃とは違って、ただ時間の経過だけではもう身に付かなさそうな「魔法」。「手順」さえ分かっていればいいんじゃない。その「手順」をこなすための「やり方」がさらに難しい。向かい合ってこなそうと思うと、どんどん難しさが増えていき、やり遂げることはどんどん魔法じみていく。(そうやって感じている時点で、もしかしたら逃げているのかもしれないけど…。)

これからの自分は、今「魔法」と感じていることをいくつ消していけるのだろうと、なぜかカザルスホールのふかふかの椅子に身をうずめながら思ってきました。別に落ち込んでしまったとかではなく、プレーンに疑問に思ったんです。どうなんだろうなあ。

うーん。多分演奏があまりに素晴らしかったせいだよね。今日の東京ヴォイシズのコンサートは、本当の意味で魔法じみた素敵な演奏でした。


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