++ワタシノココロ++
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2001年11月24日(土) |
ナツカシサ と 亡霊ノ ヨウナモノ |
テレビをつけたら、 やすくんがこの春まで住んでいた伊豆の街の 四季折々の観光を紹介する番組をやっていた。
観光地はほとんど行ったことがないんだけれど、
見覚えのある街並み、駅、海、それに太陽。
やすくんの部屋はかなり山際で、 お風呂場の小さな窓から海が見えるだけだったけど、 その蒼さや光で輝く様子が すごくきれいで、一人でボーっと見ていたこともあった。 反対によく見えたのがミカン畑。 ピカピカ光る分厚い葉。 太陽の光を吸収したみたいな黄色い実。
伊豆の日差しは暖かくて、 冬でも窓を開けて過ごすことができたっけ。
「年中温暖だからさ、ノンビリしちゃってダメだね」
って言ってた焼き肉屋のマスターや、
「一人じゃ淋しいだろうから」って やすくんのホテルで働いてるおばちゃんと 初対面なのにも関わらず、1日過ごした日のことを思い出す。 海を見たり、遊歩道を歩いたり、 一緒にチゲ鍋を作って食べたり。
懐かしいなあ・・・
ホテルの食事や温泉。 やすくんと初めて会ったとき、 いきなり会社の温泉に連れて行かれた。 そして、やすくんの両親との初対面。
ひとつひとつが、懐かしい。
ふと、海水浴場の様子が映し出される。 まぶしい太陽に、輝く海。
伊豆と言ったら必ず出てくる光景。
なのに、
違和感を感じる自分に、ビックリする。
あ、そうか。 わたし、こんな伊豆を知らないんだ。
やすくんに出会ったのは夏。 でも、初めてやすくんの部屋に行ったのは もう秋まっただ中だった。
次の夏を待たずにやすくんは転勤してるから、 夏の伊豆を知らないのは当然。
…夏の思い出かあ…
花火の映像。
私はこの花火を知らないけど、 この花火の下で、花火を見に来たお客さん達のために 大忙しで食事を作るやすくんや、 祭りの後の夜の街を 疲れて帰るやすくんの様子が簡単に想像できる。
ふと。
また。
… あの人は、この花火を知ってるんだなあ。 このころのやすくんを知ってるんだ。
なんて、思ってしまった。 もう、忘れたと思っていたのに、 この前やすくんが話してくれたから、 それはもう、過去の話だってはっきり分かったのに、 こんなふとした瞬間に、 あの頃の不安な気持ちや、 やすくんの部屋に残るあの人の影みたいのにきづいて 一人でやすくんの部屋で泣いたこととか、 そんなことまでよみがえってしまった。
懐かしくて、辛い思い出。
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