++ワタシノココロ++
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昨日の夜
やすくんに顔を見られないように、
背中に抱きついたまま
大切な話をした。
こんどやすくんの所に行ったら、
絶対話そう、って
ずっと決めてたこと。
ねえ、やすくん
受け取ってほしいものがあるの。
やすくんは、最初訳がわからなかったらしく
私の言葉がいつになく暗かったから
「何かわからないうちは受け取れないよ」って
少し怖い声で、そう言った。
紙の袋を一つやすくんの前に差し出す。
やすくんが抱えてる
大きな荷物を
私がひとつ下ろしてあげる。
新しい荷物を背負うことになるけど
今度は二人で背負っていこう。
そうしないと
私が前にすすめないんだもの。
心の一部分が
引っかかってるあの人が
いつまでも消えてくれないから
私が差し出した紙袋の中身を見て
やすくんはビックリして
後ろを振り返ろうとした。
だけど
やすくんの表情を見たくなくて
私の表情を見られたくなくて、
背中にしがみついた手に力を込めた。
やすくんは
しばらく黙って
黙って
そして、
頷いてくれた。
黙ったまま、俯いて動かなくなった。
向かい合って、話をしなくて良かった。
きっとお互い今までで一番辛い顔をしてる。
背中にしがみついたまま
何も考えられずにいた。
やすくんも俯いたまま
ほんの少しも動かなかった。
一体どのくらいの時間が過ぎたのだろう
「なあ」
やすくんがつぶやいた。
本当につぶやいたのかは分からないけれど、
でも、そんな気がした。
「 …………………… ん? 」
言葉になるかならないかの返事をした気がする。
「ありがとな。心配書けちゃってたな。
ごめんな。」
やすくんが俯いたままつぶやいた言葉が
確かに聞こえた。
もっとすっきりすると思ったのに、
これであの人のことを忘れられるような気がしてたのに
やすくんのつぶやいた声で
一人で背負っていた物が想像以上に重かったことに気づいて
それだけ、あの人とのことが大きかったことが分かって
涙が止まらなくなった。
わたしのしたことは正しかったのだろうか。
出しゃばりすぎたんじゃないだろうか。
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