++ワタシノココロ++
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1年前の今頃
やすくんと二人で
小さな電球だけともった暗い病室で
初めて体験する痛みを感じてた。
時々うつらうつらと眠ることはあったけど
不意に襲われる強い陣痛に
私はどうしていいのか分からず
顎をやすくんの肩にのせてしがみついてた。 っていうか腕を握りしめてた。
やすくんはそんな私を抱きかかえるように座りながら
腰を擦ってくれたり
痛みを逃す呼吸法を私に伝えるようにずっと続けてくれてた。
明け方に生まれるだろうっていう
担当の助産師さんの言葉を信じて
夜が早く開けないかって
そればかり考えてた。
ドラマみたいに
お腹が痛くなったと思ったら
次のシーンでは分娩台に乗ってて
2〜3回いきんだらすぐ赤ちゃんがないて
次のシーンは病室でにっこり微笑んでる、なんて
絶対ありえない。
もっと生々しいというか動物的なもの。
自然の摂理、動物的本能に身を任せるしかない
そんな感じだったと思う。
とにかく、1年前の今頃が
今までで一番長い夜明け前だった。
1年後の今。
珍しくなかなか眠れずにいたひかるは
私の胸の上で眠ってる。
私の鼓動を聞くように 片耳を胸にくっつけて。
まるで1年前の今頃を思い出すように。
やすくんからメールが届いた。
「1年前の事を思い出しました。 早いね」って。
ひかるが生まれて1年。
特別なあの夜から1年。
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