2001年12月20日(木) |
『クリスマス・キャロル』 |
ディケンズの名作…市村正親さんの一人芝居…一人で54役を演ってしまうと聞いて観に行ったのはもう、3年前のことでした。 『クリスマス・キャロル』のお話は昔に読んだきりで、けちけち爺が悔い改める話…そんな風に思ってたんですが、今改めて読み返してみるといいお話だと思います。 とはいえ、前回の『クリスマス・キャロル』を観に行ってから後に文庫本を買ってしみじみ読んだんですけど。(^^;
何度観ても見飽きることがないどころか、『この季節には必ず観たい!』と思ってしまう舞台のひとつにあげてしまいたいです。 それに、見飽きるといっても前回の舞台とは大分違ってたので、飽きるなんて言うことはないでしょう。 しかも、前に観たときよりも各段に練れた舞台になっていたと思います。 相変わらずおちゃめな市村さん…この人ほど舞台が楽しいと体現してる人もいないのでは、と思ってます。聞き取りやすい明瞭な台詞なのに、ちょっと早口…かな? 役から役への変わり身の早さ、役柄の演じ分けの多彩さには感心させられました。 自分のことしか考えてない強欲なスクルージや、小心者のクラチット、能天気な甥、太ったオジさん、口喧しいおばさん、大人の足元にまとわりつく落ち着きのない子供…どれも一人一人の特徴をジェスチャーだけで演じ分けてしまうのはさすがです。まあ、人間どころか精霊や幽霊や私の大好きなドアのノッカーまで演じてしまうくらいですから。(笑) でも、ふとした瞬間、市村さんの脇に子供の姿が見えたような気がしたり、ついつられて市村さんの指差す方向を見てしまったり…というのは市村さんが優れた演技者だということでしょうねェ…。 やっぱり『演技の市村』と言われてるだけはありますね。 前回観た時はクラチット家の末っ子とドアのノッカーがお気に入りだったのですが、今回のお気に入りはマーレーの亡霊でした。(笑) この役は音響さんとの連携が秀逸だったと思います。 マーレーの身体に巻きついた『業』という名の鎖を引きずって歩く様も本当に鎖をまとわりつかせているようでしたが、市村さんが歩くたびにあわせて流される効果音のタイミングが素晴らしい! こういう時に、舞台は一人では成り立たないものなんだって強く感じます。 作られたモノだってわかっているけど、多くの人の努力で構成されているモノだからこそ、こんなにも魅れるのでしょうねェ…。 終盤ではあちこちからすすり泣く声が聞こえてきたり…自分の視界もいつのまにかうるうるとしてきたり…舞台の持つパワーというのはすごいモノです。 いやなニュースばかりが流れる昨今、それでも温かな気分にさせてくれるこういう舞台こそもっと積極的に上演して欲しいです。
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