久しぶりに劇団四季を観ました。 久しぶりの観劇がこういう重いテーマを持つ作品だってのはあれですが、名古屋へ新作ミュージカルが来るのは嬉しいことです。…なかなか名古屋へは来ないので、何かの演目のついでに東京公演、大阪公演で観ることが多かったんですけどね。 『異国の丘』は四季にしてはいつもより観客の平均年齢が高めでした。(^^; 若い人が少ないというのではなくて、多分いつも観に来ていらっしゃる20〜30代の方がお友達ではなく、お母さんやおばあちゃんと観に来ている方が多かったという点でいつもと違った客層でした。また、ご夫婦で来ていらっしゃる方も多かったのでいつもよりは男性の比率が高かったです。 ミュージカルって圧倒的に女性(しかも20〜30代)の観客が多いんですけど、こういう傾向っていいですよね。
…で、どうだったかといえば。
日本と中国の戦争を背景に日本の首相の息子、九重秀隆と中国高官の娘、宋愛玲の悲恋を絡めたミュージカル。
と聞いていたので、戦争を知らない子供の私としては戦争ものに対しての特別の思い入れもないし、時代背景が暗くテーマが重いので、あまり楽しめないかと思ってたんですが…主人公・九重秀隆がN.Y留学していた場面などポップで楽しかったです。 しかし、反転してシベリア抑留の時は白く、色を極力押さえていて暗く…実際に温度が下がった気すらしました。(まあ、ドライアイスなんかも使ってますし…) もう、この対比は構成上見事としか言いようがありません。 『李香蘭』も『ひめゆり』もそうですけど、戦争を語り継ぐ上でずっと続いてほしい演目です。教科書の中の戦争よりわかりやすく、その時代の温度を感じられるような気がするから。
曲も…まあ、随所にいい曲が散りばめられていてよかったです。 私は四季オリジナルミュージカルの中では一番好きかも…。 しかし、終った時にどの曲が一番印象に残ったかといえば、2幕の『遺言』……。 (T^T)何だか外しているような気がするのは気のせいでしょうか。 これは、そんなに大きなナンバーでなく、死を覚悟したシベリア抑留者が日本への帰還が決まった者に家族に遺言を頼むシーンなのですが、実在した方の遺言を翻案したとのことで…それだからでしょうか、心にぐっときます。 『紙に書いたものは検査で没収されてしまうから覚えてください』ってのはなかなかにつらい台詞でした。
それから、保坂さんが祖国への思いを綴る『虐げられて』もいい曲でした。 詞のカンジが浅利さんの傾向とは違ったので、『おや?』と思ったら岩谷時子さんの詞でした。
まあ、あと語りたいのはやはり役者さんについてですか。 保坂さんは相変わらずいい声を聴かせてくれました。それから久野綾希子さんが出演してらっしゃったのも嬉しかったです。…もう結構なお年のはずなんですが(失礼)相変わらず華やかな美しさでした。神田役の深水さんもいい味出してました。
でも、石丸さんが何だか……(^^;
不可という意味ではないけれど、可でもない。 石丸さんは歌もそこそこ上手いし、ルックスもいいし、そこそこ演技も小器用にこなすし…役者として否はないんですけど…そこで終っちゃうんですよね。 押し出しが弱いというか、役者としてアクが弱いというか…何でもそこそこで『これ!』といえるものがない気がします。 だからちょっと物足りない………。(>_<)
保坂さんとのハーモニーは綺麗ではあるけれど、心に訴えるにはイマイチ個性が弱い。
綜馬さんのパーティーの時に既に『異国の丘』を観た方が『まるちゃんのための役じゃない』というようなことを仰っていた記憶があるのですが、そういうところが原因でしょうか。 N.Y時代の坊ちゃん然としたところはいいのですが、シベリア抑留中…大変なめにあってるにも関わらず苦労している様子が薄っぺらく感じられました。 これは今より数年後に観たほうがよかったような気がします。
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