『エマ』5巻感想

期待して期待して待ちこがれて手に取った5巻。
連載中の作品の新刊を、あまり大きな期待で待ってはいけないと思った(^^;
いや、結して良くなかったとかいう意味じゃなく。
いつもの『エマ』らしく、スローモーションで時間が流れるような切々とした展開で、やはりセツナイ。
そう、スローモーションなのである。
新刊1冊分じゃ、私の望む展開に至らないのですよ。
要するに物足りないってことだ。
ま、そんなこと言っていても始まらないから、内容へいこう。

5巻は、ウィリアムのおとーさま、リチャードがまだ若く、お母様のオーレリアとの出会いの物語で始まる。
この物語がオーレリアが『ミセス・トロロープ』と呼ばれる事になった由来を説明している。
そして、イギリスの社交の場では人の噂が人を壊してゆくこと、その苦痛を
身をもって知るからこそ、息子の幸せの為に悪人にもなれる両親の苦悩が描かれている。
一方、エマとウィリアムは再会を果たしてから、お互いの思いを隠すことをやめ、それぞれの場所へと戻った。
その思いは、手紙という形を経て深く激しく育っていく。
彼女たちの関係の背景には多数の障害があり、恐らくそれも恋愛感情を育ててしまう原因になっている。
そんな中、とうとうウィリアムがエマの職場を訪れる。
こちらの主人はうってかわってエマ応援組だ。
ウィリアムとの会談で、ドロテア奥様は少々浮かれ気味ではあるが、地位と財産を持った彼女たちは、今後エマの強力な後ろ盾になると思われる。
しかし、やはりエマとウィリアムがうまく結ばれるとは今の段階ではとうてい思えない。
この身分の差はいささかどうしようもない気がする。
父リチャードの意味ありげな口元と、ウィリアムの考え込んだ顔が不安だ。
そして、次巻こうご期待、なのである。

今回の見所。
作者のメイド偏愛が惜しみなく露呈している、連続5ページにおよぶエマのメイド服へのお着替えシーン。
もともと登場人物に多くを語らせないこの作者だが、マジに無言で着替えだけに5ページを割く心意気。脱帽である。
一見の価値有り。
機会があればご覧ください。
2005年04月02日(土)

Solfeggio〜レッスンで感じたことを。 / ちるるん。

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