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2002年01月24日(木) 歌舞伎に行ってみませんか?

 歌舞伎、観に行った事ありますか?テレビで観たことありますか?歌舞伎役者と呼ばれる役者さんを知っていますか?

★もっちゃんと歌舞伎の出会い★1stインパクト
 本当ははっきり覚えていない。だけど最初の印象としてすごく残っているのは、坂東玉三郎丈の「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」。物語とか全然記憶に残っていないんだけれど、お姫様を演じる玉三郎さんの美しさと、書割(かきわり・絵で書いた背景セット)で、できてるとは思えない、美しい舞台装置に衝撃を受けた。「こんなあでやかな世界があるんだ!!」
 新橋演舞場では、おりしも片岡孝夫(当時)(現片岡仁左衛門)と玉三郎孝玉コンビが新派に出演。いくつかの泉鏡花作品はテレビでも放映された。写実的な世界では、歌舞伎の時代物や廓物のような派手なあでやかさはない。しかし、女形の女性にはいないんじゃないかと思う程の物腰のよさ、そして孝夫の粋、格好よさがかえって浮き彫りにされ、惚れ惚れした。物語は切なかったりするのだけれど、この2人の「天上人」的存在との出会いがなければ、歌舞伎に心酔することはなかったかもしれない。(天上人=好きな俳優さん多けれど別格ってことの大げさ表現、現実の世界に生きている人とは思えない美しさを現す、わたくし的表現)

★もっちゃん、はじめて南座で歌舞伎を観る★2ndインパクト
 おりしもスーパー歌舞伎として今は人気を誇るおもだかやさん(屋号です)、市川猿之助ひきいる「ヤマトタケル」を幸運にも観る事が出来た。「歌舞伎」とは、歌と舞いと技であり、いわゆる、日本のミュージカルかオペラのようなものである。しかし「歌舞伎」は当て字。目立ちたがりの人間が、世間をあっといわせることをやる破天荒な様子を「傾く(かぶく)」と言い、四条河原で踊りだしたものたちを「傾き者」といったことかららしい。であるから、スーパー歌舞伎が、いわゆる古典歌舞伎、現在では「大歌舞伎」と銘打って打たれる公演と区別化されるけれど、古典の継承をしつつ、新しいものへの挑戦、宙乗りや、後に京劇との融合など、「かぶく」精神の強いものである限り、充分歌舞伎、まさに歌舞伎の真髄とすら言えるかも。そして私は『ヤマトタケル』で、早替わりを得意とする若手女形の星(当時)、中村児太郎(当時)(現中村福助)を手の届かぬ天上人・玉三郎に次ぐ人物になるのではないかと期待して、幾つかの作品を見ることになる。(現時点では、玉三郎に次ぐ人物というのは見当たらなくて、若手では市川笑三郎丈がそうなればいいな、と応援している)

★もっちゃん、ちょっとづつ歌舞伎を観れる経済力をもつ★
 ようやく就職し、ちょっと潤ったので、歌舞伎を観れるようになった(気軽というには、やっぱり高いけど)。東京では歌舞伎座で毎月やってるし、国立劇場や、浅草でも、歌舞伎は観られる。しかし、関西は当時、南座の顔見世がメインイベントであとは中座で夏歌舞伎。孝夫の父である、13代仁左衛門は、この南座を愛し、関西での歌舞伎の復興を願った役者である。晩年はほぼ視力を失ったが、初役に挑んだり、親子4人で顔見世興行を勤めたりした。私にとって松嶋屋さんの引力も相当である。(ちなみに歌舞伎座だけであった一幕見。これが博多座やたまぁーに大阪松竹座にもできた。歌舞伎座に行ける人は、おいしいですよ。当日並びでしかも3階の一番後ろに立ち席だけど、安いのよ。雰囲気を味わいたい人、何回も見たい人などが利用しています。)

★もっちゃん、ついにダーリンに出会う★3rdインパクト
 はっきりいって、何で気がつかなかったんだろう。今までもきっと観ているはずなのに。今はない大阪道頓堀の中座。ここで「関西歌舞伎を愛する会」という公演が7月に行われていた。主に若手(といっても年齢的には中堅か)の公演。これに孝夫が出るというので行った。「荒川の佐吉」である。もちろん、孝夫が佐吉親分。これもまた、中々に切ない物語である。佐吉の舎弟のような大工がいる。これが坂東八十助(当時)(現十代目坂東三五郎)だった。松嶋屋さんを観に行ったはずなのに、私の目はこの期待の大和屋さんに釘付けになってしまった。彼は、中村勘九郎と同年で仲良し。しかし、どうも彼は勘九郎のようにぱっとアピールするものに欠ける(あぁ、そうです、言いたかないけど、よく言う「華がない」ってやつかもしれません、でも現実にきちんと彼を見つめてればそんなことないんだけどね)。その上、小さい。彼自身、自分の(ふさわしいというか、身の丈にあった役、彼こそはという役のことをこういうらしい)を「まぁ、このくらいかな?」と考えその中でできる事を精一杯やるというふうであったらしい。松竹としても客の取れる人の中には入ってないのか、華やかな大役は、なかなかまわってこない(それで配役がまんねりになるので考えてほしいんだけど)。父の九代三津五郎(故人)という人しか実物の歴代三津五郎は見ていない。とても脇が上手い役者であった。どうも新三津五郎もその路線なのか・・・。
 しかし、彼は、継ぐべき日本舞踊の流派を持つ身。日舞の美しさ、正確さ、色気、解釈、指導、全て歌舞伎界でも、その上手さには定評がある。そして、声。口跡というが、声良し、台詞回し良し、役によっての間、良し。何より、仁にあわないからとあきらめていた役ですら、チャンスが巡ってきた時には彼はこなすのだ。大きく見せる技をもっている。そして何より努力、研究。声良し、踊り良し、姿良し、三拍子揃った八十助との出会いが、私の歌舞伎ライフを大きく前進させた。

★ミーハーでいいのだ★
 八十助はもちろん、他の役者さんもおっしゃいます。歌舞伎は最初の作品が肝心と。でも、もし退屈だったり、役者の好みのあわないものにぶつかっても、もう1度違うものでトライして欲しい。歌舞伎には色々なジャンルがある。荒事は嫌いでも和事は好きな方もいらっしゃるかも。反対もしかり。
 とにかく1度劇場へ足を運んでみてください。そして、何より一番いいのは、贔屓の役者を見つけること、これが歌舞伎への大きな一歩だと。かくいう私もその一人、八十助見たさに歌舞伎を見る。そうして、その人を見ていくうちに、作品の数も増え、知っている役者も増え、もう、あなたは歌舞伎のとりこになるかもしれません。
  
★堅苦しくないのだ★  
 さっき、スーパー歌舞伎が革新的って言ったけど、歌舞伎界全体が少しづつ変わってきている気がする。古典を継承しながら、無難な演目にかたよりがちな中、埋もれている作品を掘り出したり、彼らの世代で後に残るスタンダードを作りたいという考えがあったり、他の演劇とのコラボレーションも試みられている。
  
 普通の舞台と違って、全員揃うのはほぼリハーサルしかない。演出家そのものはいなくて、先輩の役者、座頭格の役者が狂言方というスタッフと舞台監督をする感じですか?(明治以降の作品には演出がつくこともある)先達の芸を常日頃盗み、日頃から稽古し、役が当たったら研究し、自分でもってくるの。すごいね。歌舞伎座などは、毎月公演。だいたい25,6日に千秋楽。翌月の初日は2日が多い。この4,5日の間に形にするためには、個々の練磨と、スタッフの情熱と、下座音楽や浄瑠璃方との息を、その期間であわせるまさにプロフェッショナルな仕事なのです!!
 なのだけれど・・・その人たちが、さらに・・・色々やるんですよ。基本が出来てる人たちがやるから、おもしろい、はず。例えば、串田和美と勘九郎による平成中村座。野田秀樹による歌舞伎座における演出。昨年は、そういうのがありましたよ。「はず」なのは、江戸まで観に行けなかったんだっ!私は!そういうのがきっかけでもよござんす。1度、歌舞伎に行ってみませんか?もう、私など、チョーン!というキの音が入った途端に、ぴりっとして、下座音楽が聞こえてくると、なぜか血湧き、肉踊る!ある意味ラテン聞いてるみたいになります。もう、全然堅苦しく考える必要なんて無いの。物語はパンフレット(江戸は「筋書」上方は「番附け」)に書いてあるし、ただあざやかな世界を味わってみてください。

 時代物(鎌倉時代とかの武士の世界とかね)は、理不尽な世界で、受け入れがたいかもしれない。でも、昔の日本の考えを知ることができたり、だからこそ今の世の中が良く思えたり、さらに今の不条理を考えたり・・・。江戸時代、世相を反映した「仮名手本忠臣蔵」や、「心中物」が、すぐ作られ、上演されたということは、現代の映画やドラマで社会を揶揄したものをつくっているのとなんらかわりはないしね。だいたい、衣装が豪華でセットも華やか。それだけで観る価値あり(歌舞伎役者は体力あるよー。衣装とかつら、ごっつ重いから・・・花魁とかだと、女子1人分くらいあるからね)。
 世話物には、落語から題材を得たものも多く、今にも通じるホロリとくるいいお話や、狂言から題材を得た、ただただ楽しいお話もある。舞踊は、色々だけど私なんて、最初観たら全然わからない。ストーリー、先に読んでおかないと。でもいいの、美しいから。とか、役者の身体の強靭さとかしなやかさとかやわらかさとか観れるし。
 テレビも映画もない時代、回り舞台も日本人が考え出したし、途中で止まって見得をするのは、ストップモーション。色々な舞台の手法もだんだんに楽しめる。(ルールっていうか、歌舞伎を見るための文法?)

 幕間にお弁当を食べながら、いろいろな世界が半日で楽しめる。もう、とにかく超エンターテイメント!!だから、チャンスがあったら挑戦してみませんか?
  どちらにしても、もし少しでも興味があるなら、玉三郎は見ておかないと!!彼は、ここ数十年、まれにみる珠玉の不世出の名女形だからね。もったいないよ。

 もっちゃんの勝手に好き好き歌舞伎役者。
坂東三津五郎。坂東玉三郎。片岡仁左衛門。中村時蔵。中村勘九郎。片岡英太郎。片岡愛之助。上村吉弥。市川新之助。中村芝雀。中村吉右衛門。市川猿之助。市川笑三郎。市川団治郎。(順不同)他、多数。


もっちゃん |M@IL( ^-^)_ヲタ""日常こんな劇場( ^-^)_旦""

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