なあ、この曲を聴いたらどんな風景を思い浮かべる? と彼は私に聞いた。
俺はな、長い坂の上から零れ落ちてくる、さまざまな色に輝くビー玉を思い浮かべるんや。
なんやそれ、ベタやな。と私は笑った。ビー玉以外を使った風景を表現したいところやろ、と言った私は、その時も、そして今でも少しひねくれているのだろうと思う。
久しぶりにこの曲を聞いてみた私の瞼の裏には、今回は素直にビー玉の群れが浮かんだ。ただし、零れ落ちていくのではなく、重力に逆らって滑るように坂を上って行く、ビー玉の群れ。
坂の上から零れ落ちてくる、七色に煌くビー玉を思い浮かべたロマンチックな彼は、今日も祇園でステージに立っている。
「ビー玉坂」 PSY・S with 村松健
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