解放区

2014年01月30日(木) STAP細胞の衝撃

今日はとんでもないニュースを耳にして、久しぶりに魂が震えた。そんなわけで、この衝撃をここに書き残しておこうと思う。

今日はこのことは散々ニュースになっているのだが、どうも本質を外した報道しか見ない。
「30歳の日本人女性が大発見を!」
「iPSより簡単に万能細胞が出来る!」
報道の内容はだいたい見た範囲ではこの二つに集約できる。まあ、世間的にはそうなのだろう。

私も初めてニュースを聞いた時はピンと来ていなかったのだ。細胞が幼弱化しただけなのでは、とか(リンパ球を使用していると聞いたからというものあると思う)、追試験で否定されるのでは、などと考えていた。なぜならばあまりに単純な方法だからだ。最初Natureがrejectしたのも分かる気がする。「細胞生物学を愚弄している」とまでは言い過ぎだが、常識を外れすぎていると思うのも仕方ないだろう。ただし大発見とは概してそんなものである。

しかしよく考えれば、これは逆に常識では測ることのできない「生命」そのものの問題なのだ。そのことに気が付いた時、私は衝撃を受けた。

酸性ストレス下に細胞を置くと、ある条件のもとで万能細胞になる。かなり乱暴に例えると、人間に死ぬ一歩手前くらいのストレスを与えると万能化するのと同じである。殺してしまっては元も子もないが、確かに人間というものは、というより生命というものは、死にそうになると自分でも信じられない能力を発揮することがある。

そんなわけで、今後の課題は、なぜそうなるのかということだろう。「生命の、生きるという欲求」そのものの意味が解明されるかもしれない。

おまけだが、去年まで理研にいた西川氏のコメントを読んで、上記の懸念は吹っ飛び、私は「これは本物だ」という確信を得た。私は西川氏を知っているが、彼は発生学に魂を売った男である。その彼がこの研究に噛んでいるということ。

http://aasj.jp/news/watch/1069

今日はとんでもないニュースを聞いてしまった。科学は確実に進歩しているということを実感したということ。iPS細胞の話は哲学的な部分は全くないが、STAP細胞はむしろ哲学的な発想から出てきた研究であるということ。そしてその応用はおそらく無限であること。


今後はアホなマスコミが彼女を興味本位で追いまわすようなことだけは避けてもらいたいと思う。

このニュースを聞いて、私はバーバラ・マクリントックのことを思い出した。彼女も「動く遺伝子」トランスポゾンを発見したのだが、時代が早すぎた。忘れられたころに業績が再発見され、80歳を超えて彼女はノーベル医学賞を単独受賞した。

ノーベル医学賞を単独受賞した女性はおそらく彼女だけだと思うが、小保方さんが同様の名誉を得ることも不可能ではないだろうと思う。そして、これだけの情報化社会の発見で時代に取り残されなかったことも素晴らしいと思う。Natureは理解できずに葬ろうとしたが、世界中の多くの方の協力で日の目を見ることが出来たのは本当に素晴らしいと思う(原著のauthorにはハーバード時代の指導教授の名前もある)。


もう一つおまけだが、こう言った大発見は関西発なのが興味深い。STAP細胞もiPS細胞も関西から出た研究である(小保方さん自体は千葉県出身で早稲田卒)。世界的に活躍するのは関西人が多いのも興味深い。はっきり書いておくが、東大はいったい何をしているのだろうか。小保方さんは、早稲田にいたままだったらこれほどの研究が出来ただろうか。


野球で言えばMLBで名を残したのは野茂にしろ黒田にしろダルビッシュにしろ関西人である。田中マー君もそもそもは関西人である。イチローは愛知の人だが、その才能が花開いたのは神戸のオリックスに入団してからであった。サッカーでも本田にしろ長友にしろ香川にしろ西日本の人間ばかりが活躍している。なんでやろうね。


ちなみに私は「個性化」あるいは「個性尊重」の差だと考えている。関東は「ダメ出しの文化」で、関西は「面白がる文化」だと思うのだが、いかがでしょうか。もちろん、東大は前者で京大は後者。

今回の研究も、関西だからこそ周りの人間が面白がって形にしたのではないだろうか。これが関東だったら、周りの人間が面白がっただろうか。あるいは、「彼女の研究」として残っただろうか?


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い・よんひー [MAIL]

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