「ラーメンって、もともと北の方の異民族の食べ物なんですよ」
と、てめえの中国人の後輩は言った。先週末の飲み会。彼はなぜか一人ぽつんと飲んでいたので、てめえはテーブルを移った。
「僕はね。ラーメンが好きなんですよね。それも日本のラーメン。豚骨がたまらない」 「おお、中国には豚骨はないのか!」
と、酔ったてめえはいつものように適当なことを言った。
ないですよー、北の方の、牛を食べる民族の食べ物なので、基本的に牛肉の出汁ですね、と彼は言った。
「いずれにしても、漢民族の食べ物じゃないんですよね」
と、漢民族の彼は言った。「異民族」と言う言い方が漢民族っぽいなと思ったが、漢民族の面白いところは、元にしろ清にしろ、異民族の支配を認めたことがあるということ。いわば、アメリカがフランス人や日本人の大統領を認めるのと同じ(ではないけどね。もっと威力がある)。この辺が中国の奥深さだと思う。
そんなわけで、あらためてラーメンのルーツについて勉強してみた。
麺料理については本当にいろんな由来があるので、ここでは麺は捏ねて引っ張って延ばす「拉麺」のみについて扱うこととする。
もともとは、中央アジア全般で食べられていたラグマンが由来とされている。中央アジアはイスラム教の人が多く、したがって自然と用いられるのは「牛」だった。イスラム教に豚は禁忌だからな。
ラグマンは延ばした麺を和えて食べる和え麺だったが、これが中国で牛肉のスープを得て、牛肉麺となった。これが蘭州拉麺である。
以降、中国全土そして台湾にも上陸したと思われる。
ここで不思議なのは、日本における豚骨の出汁。どこからそうなったのか? 中国から沖縄に持ち込まれた時点で、「豚+カツオ出汁」になっていた理由は?
というわけで、麺料理についてはいろいろ知りたいことがある。嗚呼、てめえはいつの日か引退したら、ラーメンの由来を調べる旅に出たいぜ。そして世界中の麺料理を食べてみたいと思う。
|