前回の続き。
さて今日も疲れ果ててしまった。あまりに疲れすぎてドッグフードで晩酌してしまった前回を反省し、今日はどこか帰り道にある店で適当に食べて帰ろうか。
そう考えながらとぼとぼと歩いていると、ぽつりと営業している一軒の中華料理屋が目に入った。いかにも場末の店と言った風情で、疲れ果てた労働者が飲んだり食べたりするのがぴったりな店に思え、気が付くとてめえは吸い込まれるようにその店の暖簾をくぐっていた。
店の中は意外と込み合っており、思った通り客はほぼ労働者と思しき男性だった。てめえは僅かに空いたカウンターの椅子に座った。
テーブルでは家族連れも食事を楽しみながら寛いでいたりして、きっとご近所さんから愛されている店なのだろうなと思う。今まで全く気が付かなかったことがとても残念に思えてくるくらい、不思議とこの店のカウンターは落ち着く。
さっそく餃子とビールを注文する。すぐに運ばれてきたビールで、一人乾杯した。旨い! よく冷えたビールが五臓六腑に沁み渡り、てめえのたまった疲れを心地よくほぐしていく。
あっという間に餃子も焼き上がった。さっそく一口頬張ると、パリッと焼けた皮の中から肉汁がほとばしった。熱っ。慌ててビールで流し込むが、これがまた最高の組み合わせ。
餃子とビールという黄金の組み合わせで疲れがほぐれ、ようやく食欲が湧いてきた。追加で炒飯を注文する。あいよ、と注文を受けたご主人は、さっそくよく熱された中華鍋にごま油を垂らして調理を始めた。目の前のカウンターに、ごま油のよい香りが漂う。
目の前で、リズミカルにご飯が炒められていく。小刻みに鍋が降られていく様はまるでセックスしている時のようだ。
しかしそのセックスも早いこと。あっという間にぱらっと炒められた炒飯がカウンターに並んだ。さっそく一口頂くが、ぱらりと炒められており旨い。味は濃すぎず、よく噛みしめるごとに旨いのだ。てめえはセックスの余韻をゆっくりと楽しむかのように炒飯を咀嚼する。ああ、じんわりと旨いぞ。
なんだか炭水化物満点の食事になってしまったが、脳が糖分を欲していたのだろう。なんだか意味のわからん妄想が湧いてくる元気も出てきたことだし、帰って風呂入って寝て明日も頑張ろう、とてめえは満腹になった腹をさすりつつ帰路についた。
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