解放区

2014年05月31日(土) 東京優駿

気が付けば、明日は東京優駿、いわゆる「日本ダービー」であった。

てめえが競馬を始めたのは、小学生の頃だった。小学生は馬券を購入することができないので、いつも友人のお父さんに電話投票してもらっていた。ちなみにそのお父さんはJRAではなく「ヤのつく職業の人」から電話で買っていたのは秘密の話。

てめえの両親は非常にまじめな人間だったので、ギャンブルもタバコもせず、楽しみと言えばたまに晩酌するくらいの人たちだった。母親なんて律儀すぎて5人も子供を産んだ。そんなわけでてめえは結構厳格にしつけられたと思うが、昭和の家庭というのはそんなものだったのではないだろうか。

主に注意されたのは、「コーラ」と「テレビ番組」だった。なぜか両親はその両方をあからさまに敵視していた。前者は「体に悪い」という理屈だったと思う。後者は毎朝見る番組を決めさせられ、それが両親の気に食わないものであれば却下された。たとえば「ひょうきん族」は完全にアウト。

コーラは隠れて飲むほどの興味はなかったので、初めてコーラを口にしたのはずっとあとのことだった。まあ、今でもそんなに興味はない。むしろ健康について学んでからは全く興味がない。ただしラムとの相性は最高なので、飲む機会があるとすればラムコークくらいか。

しかし「酒」「タバコ」「ギャンブル」については注意されることなかった。まあ当たり前で、むしろ小学生に上記を注意する親がいればそれこそまずいだろう。

注意されなかったから、というわけででもないが、この三つにはブリブリにハマった。

お酒は小学校の時から嗜み、母が追い出された中学生以降は毎晩浴びるように飲むようになった。そんなわけで、てめえの飲酒歴はもう30年近い。酒を飲むことは生活の一つであり、アルコール臭はてめえの体臭の一つでもある。よほどのことがない限り今後もやめることはない。幸い肝機能を壊すこともなく膵臓もぴんぴんである。きっと良い飲み方をしているのだろう。

タバコはもう止めた。これはお酒とは違い、百害あって一利無しである。人に煙害を与えないように主にてめえ一人の時だけ吸っていたので、てめえが喫煙者であること言うことは意外に知られていなかった。これは止められてよかったと思う。

ギャンブルというか、競馬についてはもう仕方がない。そういう街で育ってしまったからだ。てめえのかつての実家は京都競馬場からほど近く、したがって週末に競馬を楽しむのは当たり前であった。てめえの親はさすがに競馬には全く興味がなかったが、競馬場に併設されている公園にはよく遊びに行ったものだ。広々としたその公園は、週末に限らず親子で遊ぶには最適だった。その公園をそっと抜け出して、てめえはターフを疾走する競走馬を見ては一人興奮した。柵の向こう側を駆け抜ける、500kgを超える馬体が地響きとともに駆け抜けて行く姿がとてもかっこ良かった。


競馬の思い出は尽きないので一気に端折ってしまう。そして明日は東京優駿。人生ならぬ馬生で、3歳のときにしか出走できない、最も重要なレースの一つである。3歳のサラブレッドは山盛りいるが、その中で最も優秀な馬の中から選ばれた18頭の優駿が、明日同期の中で最強であることを競うのだ。

日本ダービーは、馬券を買うか否かは別として、可能な限り観戦することにしている。そんなわけで出走表を見ていたのだけど、今年は結構面白そうだと思ったので馬券でも参加することになりそうだ。

さて、同期の中で最優秀馬を決めるレースなので、単勝に関してはさほど難しくない。なぜならば、こういったレースで優勝する馬は比較的限られているからだ。人間でも同様で、例えばオリンピックや世界選手権などで一番を決める競争は、だいたい結果を裏切らない。こういったレースで一番になるものは決まっているからだ。たまに「番狂わせ」もないこともないが、9割以上の確率でその資格のあるものが勝つ。

東京優駿でいえば、最近は2010年のエイシンフラッシュ以外はだいたい予想通りの面子が勝っている。この年のレースも超スローペースになったからの番狂わせであって、エイシンフラッシュ自体はその後も天皇賞を勝った以外はたいした成績を残していない。

そんなわけで、予想に移る。今回はよほどのことがない限り、以下の3頭のいずれかが勝つだろう。皐月賞を2番人気で勝ったイスラボニータ、皐月賞は1番人気であったにも関らず2着に敗れたトウザワールド、そして牝馬なのに出走してきたレッドリヴェールである。

イスラボニータはまず消す。ここでダービーを獲って二冠に輝く可能性はロマンとしては面白いが、そこまでの器だろうか? 父のフジキセキ産駒はほとんどマイラーであり、2400mのレースに耐えられるのか。そして、もしも彼が例えば10番人気であれば買うかもしれないが、おそらく一番人気に推されるだろう。そこまでの期待値があるのか。そんな訳で、馬券的な旨味はいっさいないので買わない。

トウザワールド。皐月賞は1番人気であったにも関らず敗れ去ってしまったこともあり、その雪辱を果たす気持ちは最も強いだろう。馬券的な旨味もあり、今回最も興味がある。

そして面白いのがレッドリヴェール。日本ダービーは基本的に牡馬のみのレースなのだが、牝馬として今回出走してきた。これは7年前のウオッカと同じパターンである。人間と同じで男女差はあるので、牝馬は牝馬だけのレースが存在するのだが、そこをあえて出走してきた。陣営にも勝算がなければそういった博打は打たないだろうし、なによりそこには大きなロマンがある。てめえとしても、ぜひ勝ってほしいと思うのだが、さてどうなるだろうか。

人間も同じと言ったら怒られるかもしれないが、女性はレースごとの出来不出来が激しい。牝馬も同じで、鉄板だと思ったレースで絶対勝つと思った馬が突然崩れることがある。そういった大穴が生まれ得ることがあるので牝馬戦は面白いのだが、そういった不調が出ないだろうか。


そんなわけで、てめえは買うとしたらトウザワールド。加えてロマン目的でレッドリヴェールも少し買うかもしれない。ただし最終的に買うか買わないかは当日のオッズを見てからだな。


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い・よんひー [MAIL]

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