明日の研修医向けレクチャーの資料作りが終わらない。週末でなんとかメドを付けたつもりだったが、研修医から受けるであろう質問を想定するとまだ足りず、修正を余儀なくされている状態。
まあ、あとはアドリブでも何とかなると思うが、間違ったことを教えるのはさすがにまずいと思うのでもう少し頑張ろう。とも思うが、今日も忙しい一日だったし家のこともしたりとかしてもう限界。残りは明日早起きしてなんとかするぜ。自分の知識のアップデートにもなるので苦痛ではないしね。ていうか、こういうことをしていると、やっぱり自分は医学と医学教育が好きなんだなあとしみじみする。
今日の外来は、長いことフォローしているある患者さんがやってきた。この方はてめえが京都に帰ってきてから引き継いだ患者さんで、てめえの外来の中でも付き合いは長い。
生まれた時からいろんな障害と病気を持っておられる方で、他科とも併診となっている。てめえも引き継いだ時はその既往歴の長さに驚いた記憶がある。60代独身女性で独居。しかしそれだけ病を持っておられるにも関らず、ご本人はいつも明るく人生を楽しまれている。
その患者さんから相談を受けたのは、この春だったか。「友人に誘われて人生初めての海外旅行に行きたいのだが、病状的に可能だと思うか?」とのこと。
てめえはもちろん、双手を挙げて賛成した。リスクを挙げて反対するのは簡単だが、それは彼女の人生に何の足しにもならないのだ。
むしろ、人生に目標を持ってもらった方が治療の動機付けになるのだ。目標を持ってもらうことで、自分で病状を好ましいようにコントロールしようとするようになる。そう、てめえは医者の仕事なんて、いかに動機付けするかだと思っている。いったん本人をその気にさせることが出来れば、病状のコントロールは容易になるのだ。いくら説教したり薬を増やしたりしても、本人による動機付けに勝るものはない。
それでも不安が強い彼女のために、何かあったときに海外の医療機関に提示する紹介状のようなものを英語で作成した。それは単なる紹介状ではなく、生い立ちから今まで受けた医療や病名まで詳細にわたるもので、文書にするとすげえ量になった。仕事の合間に作ったということもあり、作成するのに1か月以上はかかった。しかも通常の紹介状にはなり得ないので無償である。その文書を作りながら、彼女の過酷な人生を図らずも振り返ることになってしまった。そして、何事もなく、そしててめえの作った文書が使われることなく無事旅行を終えられることを祈った。
そんな彼女は、今日満面の笑みで外来に現れた。そしててめえに、いかに楽しい旅行だったかを語った。てめえも時間を忘れて彼女の話を聞いた。次々と重ねられて行くカルテを横目に見ながら。
「結局あの文書は使わなかったのですね」とてめえは尋ねた。「ええ、使いませんでした」と彼女は笑った。これを機にまた海外旅行行ってね。
その後の外来も順調で、今日は早めに終わったので、午後への仕事の移動中に「煮干し生醤油らーめん」を食べた。うーむ、ここのらーめんはいつも何か一枚足りない気がするぜ。旨かったけど驚きのない予想通りの一杯だった。
今日はドイツ対ポルトガル。時間が合えば絶対に見たい一戦だが、無理です。寝ます。ううむ残念だ。にわかサッカーファンには、せっかくの機会なので日本戦だけではなく他の素晴らしい対戦を観なさいと言いたいてめえは立派におっさんですね。
日本戦のあと、日本のサポーターはきれいに掃除してからスタジアムを後にしたそうだ。日本人にとっては全く意外性のないニュースだが、世界的には驚愕らしい。そりゃあそうだろうなと思うわ。こういうニュースを聞くと、てめえは「美しい国」日本の日本人であってよかったと思う。
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