解放区

2014年06月25日(水) リアル30代とか。

物書きの方は、本業が忙しかったり実生活でいろいろあったりして、現在完全に停滞している。まあ、ゆっくりやりましょうね。可能であれば読むだけの立場の方が幸せだとは思う。


2012年から2013年にかけて毎日新聞に連載されていた「リアル30S」という連載が非常に面白かった。現在の30代が持つ問題や悩みを掘り下げるというもので、てめえも30代の端くれとして非常に興味深かった。連載をまとめたものが本になっているのを見つけてしまったので、さっそく購入しようと思う。

てめえの年代の人間はそれなりに特殊なのだと思う。まあ、言ってしまえばどの世代も特殊ではあるかもしれないが、特に第二次ベビーブームの世代は本当に時代に翻弄された世代ではないだろうか。

最も同世代の人口が多く、少人数教育とはほど遠い大教室で、小学校から高校までひたすら詰め込み教育を受けた。高校のときなんてほぼ50人学級だった。従って競争は過酷で、てめえが初めに入った大学の学部の入試の倍率は48倍であった。これはてめえの母校の倍率の最高記録で、間違いなく今後も破られることはないだろう。


この世代の特徴は、中学校〜高校生時代にバブルが弾けていたということと、大学生くらいの時期にインターネットが普及したということに尽きると思う。

社会に出る頃にはすでにバブルが弾けたあとであり、前の世代のような美味しい思いをすることもなく、就職や進学には困難しかなかった。就職にあたっては採用を控えられることも多く(最も人口が多いにも関らず!)、なんとかありついた職にしがみつくしかなかった。

就職できず、とりあえず派遣社員として働き始めた人もいる。ちょうどてめえらの世代から、人材派遣会社が進出してきた。容赦のない派遣切りもあり、鬱病も増加。などなど社会に対する不安しかなかった。てめえはそう言う例には当てはまらないが、友人たちにはそういう例がたくさんいる。

あの町工場の屋根を見つめながら「何かに騙されている気がする」とてめえが蒙を啓かなかったら、そしてガリ勉しなかったら。ガリ勉の結果奇跡的に48倍を突破しなかったら。同じようになっていたかもしれない。

そうして職を得ても給料も低く、結婚したとしても共働きが基本である。「亭主関白」や「専業主婦」なんて、やりたくても出来ない。というわけで、家事は自然と分担することになる。逆に言うと、食事も作れない男性は話にならない。なんとか結婚にこぎつけても生活が破綻する。

てめえの職場の同僚も、子供が風邪を引いたと言ってはあっさり仕事を休む男性がいるが、とても良い傾向だと思う。その分てめえらに仕事の負担が増えるがそれくらいはどうってことはないし、それを自然に許容しているうちの職場はとても働きやすいと思う。

そして共働きなのに家事負担を専ら女性に求めるのはいただけない。というのが、てめえらの世代の平均的な意見ではないだろうか。というより、現実的に難しい。これはてめえらより下の世代も同じだと思う。自分で出来ることは自分でする。結構地に足の着いた世代とも言えるかもしれない。そういえば「イクメン」などという言葉が生まれたのもてめえら以降ではないか。

ちょっと話は違うが、同様の理由で、家族の介護を嫁に求める傾向も改善してほしいと思う。これもまた仕事上いろんな悲劇を見てきた。夫の親と嫁って基本的に赤の他人だぜ。てめえの親の面倒も見れない男は子供以下だろ。それが男の甲斐性やろ。自分が見ることが出来ないのなら他の兄弟など血縁者に頼るか、あるいはプロを雇いましょうね。


逆に言うと、バブル以前に社会人になった男性の中には、家事が出来ないことをむしろ誇っている人もいる。とても可哀想だと思うし、世代の断裂を感じる。なぜなら、そんな人がバブル後にどんな人生を歩んだのか、てめえは今の仕事の立場からたくさん見てきたからだ。

バブル後の社会人とは違い良い仕事についてはいるが、バブル後にはむしろお荷物扱いされ、給料も激減。仕事がないからと家にいても、「仕事が出来るから」(本人が出来る訳ではなく、仕事だけしていても許された時代だっただけ)と家のことを顧みなかった分何も出来ないので妻や子からダメだしされるが、プライドだけ無駄に高いので逆切れして結果的に独居になり、色々と荒れて医療のお世話になる。自分のまいた種なのか、あるいは彼も時代に翻弄されたのか。てめえは、時代に甘やかされたのだろうと思っている。


と言うとてめえの世代はデメリットばかりにも聞こえるが、そうではない。毎日新聞の連載ではデメリットというか、上記のようなこの世代の悲劇を多く扱っていたし、てめえも共感できるところが多かったのだが、メリットはあまり扱っていなかった気がする。

てめえの考えるメリットは、インターネットの普及をこの目で見てきたということだと思っている。


てめえの世代より前は、社会人になってからインターネットが普及した。従って、「便利なもの」という認識はあるかもしれないが、頭が柔らかいうちに出会っていないのでそのメリットを未だに享受できていない人が多い。

てめえの世代より後は、もう気が付いたときにはインターネットがあった。「便利なもの」というよりは、当たり前にある情報ツールという認識だと思う。これはこれで良いことだが、インターネットがなかった時代は知らない。

てめえの世代は、ネット前と後を知っている。これは大きなメリットだと思う。子供の頃は携帯電話すらなく、もちろんtwitterやFacebookなどのSNSもなかった。メールもなかった。友達と遊ぶと言ったら原っぱで暗くなるまで遊ぶことだった。女の子の家に電話する時は、時間を決めて電話したものだ。呼び出し音が鳴り、本人が出るまでは息を潜めていた。罷り間違って、特に父親が電話に出た時は凍り付いたものだ。まあ、どうでも良いが。

てめえの場合。小学校でPC-9801に出会い、学校でベーシックのプログラムを学んだ。今は亡きAおよびBドライブの意味を知っている最後の世代ではないだろうか。ていうか、てめえより前の世代で知っている人はパソコンおたくである。OSが入っているのがCドライブであることの理由を知っている人は実は少ない。

大学生のときにWin95が出た。その後、リアルタイムでITの進化を観てきた訳だ。従って、ネットのメリットもデメリットもよく知っているし、どう生かすかということも最も知っている世代なのではないか。



まあ、どうでもよいわ。よくないが、てめえの娘が高校でも登校拒否になったという話に比べればどうでも良い。父ちゃんとしてはSNS関連の問題があったのではと勝手に推測しているが、どうなんだろう。違うような気もするが、コミュニケーション関連の問題なんだろうなとは思う。そんなものがなかった時代は良かったと思うし、てめえはSNSには手を出さない。


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