私の誕生日を祝うという名目で、 食事をしましょうということになったので、 ダンナと一緒に私の両親に会ってきた。
「いつが良い?」
そう聞かれたので土曜日と答えたのに、 14日以外は都合がつかないといったのだ。
私はこういう育てられ方をした。
私たちの駅がある路線と、 彼らの駅がある路線が交わる所で、 2時に待ち合わせ。
もちろん時間も母が決めた。
私はこういう育てられ方をした。
「何が食べたい?」
そう聞かれたので「肉」と答えていた。 商店街を歩きながらまた質問される。
「ステーキと焼肉、どっちがいい?」
考えていると、 「ここがいいわよね? ここにしましょう」 とハンバーグ屋に入って行った。
私はこういう育てられ方をした。
ステーキもあったので、 みんなでそれを注文し、 狂牛病について語りながら肉を食す。
「この店は選曲のセンスが良いわ」
両親が言う。 自分たちの趣味にあえば「良い」で、 合わなければ「悪い」のだ。
私はこういう育てられ方をした。
腹を満たした後、 彼らと私たち夫婦の共通の趣味である、 カラオケ屋に入店した。
最初の予定時間も延長も終了も、 全て母が決めた。
私はこういう育てられ方をした。
それでも私が全般的に、 不機嫌にならずに過ごせたのは、
母が写真代について覚えていたことだった。
私はそれだけで随分とホッとして、 母に対する警戒心を緩めたのだ。
私はこういう育ち方をしてしまった。
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