Sun Set Days
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2001年12月01日(土) |
Don't you worry 'bout a thing |
昨日までは11月で、今日からは12月になる。 ときどき、もし1ヶ月とか1年間という区切りの呼び名がなくて、ただ日々が重ねられていくだけの世界だったらどうなるのだろうと思う。 そういうある種のしるしがあるから、たとえば1年前の今日とか、5年前の11月といった思い出し方をすることができるし、それは記憶を掘り起こす際の灯台の明かりのような存在になるということができる。 けれども、もしそういう区切りがなかったとしたら、人生はらせん階段のように1年1年上っていくものではなく、長くどこまでも続くハイウェイのようなものになるのかもしれない。 その世界では、たとえば95日前にした約束だとか、28日後のお祭り、あるいは中学校に入学したのは1382日前のことだって言ってみたりするのだ。あるいは、3652日来の親友だとか。 それぞれの日数が紛れもない事実であったとしても、そこからはどうしても現実感が失われてしまう。どこかシュールな感じになってしまうのだ。区切りの名前に付随するある種のイメージが切り取られてしまうような。
「5年前の雨の日」というのと、「1826日前の雨の日」というのとでは、立ち上がってくるイメージが随分と違う。 というか、後者ではどこか途方もないようなイメージが浮かんでくるような気もするし。トリケラトプスとかイグアナドンとかの闊歩する太古の昔みたいだ。実際には5年くらい前のことなのに。
もちろん、それはそういう区切り方の存在するこの世界の常識の枠組みから考えているから、もしそういうものがない世界から見てみると、「1826日」というのは、そんなに昔のことでもない、むしろ鮮明な感傷を呼び起こすようなイメージを喚起する数字なのかもしれないけれど。
でも、1年12ヶ月というくくりや1週間7日というくくり、そういうものって、普段は取り立てて気にもとめないものだけれど、よく考えてみるとすごいよなと思う。 合理的だ。
そして、和洋を問わず、月日にはそれなりの意味やエピソードが織り込まれていて、そういうのを調べたりするのも面白い。 たとえば、陰暦十月を神無月と呼ぶけれど、出雲地方だけは神有月と呼ぶとか(日本中の神様が出雲に集まるから)というのなんてとても興味深いエピソードだと思えるし。
でも、もう少しで生まれてから1万日生きていることになるのだなと思うと、不思議な感じがするのは事実。
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今日は、朝からスティービー・ワンダーのアルバムをかけているのだけれど、スティービー・ワンダーを聴いていると、どうしてか昔のことを思い出してしまう。 それもある特定の時期というわけではなくて、まるで記憶の中のシャッフル・スイッチを柔らかく押されているような気がしてしまうくらい、ランダムに、とにかく過去の出来事が立ち上ってくる。ときには、それが自分のものではない誰かの記憶を見せられているような気がすることさえある。ある種の思い出を呼び起こす声や曲。 だから、僕の中ではスティービー・ワンダーは現在から過去に向かってベクトルが伸びているアーティスト、ということになる。 あくまでも個人的な印象だけれど、アーティストには、ベクトルを持った属性のようなものがあって、それは輝く光のように未来を指していたり、頑固で不器用な不良少年のように現在から離れたがらなかったり、あるいは晴れた午後の柔らかい影のように、過去に向かって伸びていたりする。いずれもそれぞれの味があって、音楽の効用を果たしてくれる。 音楽はそこにあるだけで空気を変えるし、その変化は聴き手を揺さぶる。心を揺さぶるのってすごいことだと思う。 考え付く限り、一番短い時間でそれをするのは音楽だ。 物語ももちろんそれをより掘り下げて行うことはできるけれど、瞬時に、というとやっぱり音楽の二の次になってしまう。 曲によっては、前奏だけで泣けるという人もいるほどだし(早すぎるよ)。
とりわけ、何曲かでは、どうしてか真夏の夜の砂浜を想像してしまう。海岸道路の等間隔に続く電灯が煌々と灯っているような夏の夜。その砂浜を歩いているというイメージ。実際には、そういう砂浜にいなかったとしても、どうしてかそういう光景が思い浮かんでくる。それくらい、イメージを喚起してくる音楽だということができるのだろう。
また他の曲では、逆に真冬の深夜を想像してしまう。しんしんと雪の降る道を、きゅっきゅっと踏み固めて歩いていく情景とか。
いずれにしても、季節感が明確に現れるような記憶を思い浮かばせるのがスティービー流なのかもしれない。 本当に、さすがスティービーだという気がする。よくこういう曲を作ることができるよな。
ちなみに、好きな曲はたくさんあるのだけれど、「You are the sunshine of my life」に「Whereabouts」や「Overjoyed」そして「Don't you worry 'bout a thing」なんかは特に好きだ。 「Don't you worry 'bout a thing」はインコグニートがカバーしているバージョンもよかったのだけれど。
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お知らせ.1
心配だったので、トレンドマイクロのオンラインウィルスチェックをやってみました。 感染はしていませんでした。
http://www.trendmicro.co.jp/hcall/scan.htm
お知らせ.2
みなさんがいままであげたプレゼントで一番喜んでもらえたもの&もらって一番嬉しかったものってなんなんでしょう。 そういうのって、すごく興味ありません?
ちなみに、個人的には学生時代にアルバイトを頑張って外国製のジューサーをプレゼントしたのが、印象深いのですけど。 個人的な基準としては、宝飾品なんかよりはインテリア・雑貨よりで、なおかつ「実用的」で(←コレがすごく大事)、ただ自分ではちょっと積極的に買わないようなものをプレゼントするのが好きなのです。 だからたとえば、エスプレッソマシーンとかでもいいですよね。自分ではちょっと買うのもったいないと思っても、もらったら嬉しいような気がするし。
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