Sun Set Days
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2004年01月16日(金) 『GO』

『GO』読了。金城一紀著。講談社文庫。

 ずっとそのうち読もうと思っていた本で、先日買い物に行ったときに文庫本が目に入ってそのまま手に取った。
 裏側の紹介部分にはこう書かれている。


 僕は何者? 日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は《在日》と呼ばれる。元ボクサーのオヤジに鍛えられ、これまで喧嘩二十三戦無敗。ある日僕は恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい《日本人》だった――。軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する、感動の青春恋愛小説。直木賞受賞作。


 窪塚洋介と柴咲コウ出演で映画化もされているので、主人公のイメージを二人に当てはめて読んでしまっていた。他にも、親父が山崎努で、母親が大竹しのぶというように。しかも、映画もまだ見ていないので、なんだか勝手に当てはめてしまっているみたいでなんだか妙な感じだった(ただ、桜井と柴咲がうまく当てはまらなかったのだけれど。映画ではどうなのだろう?)。

 それにしても、大体こういう話なのだろうという思い込みや先入観のようなものは、実際手に触れてみると結構異なっていることが多かったりするのだなとあらためて思った。僕はこの小説の大まかなストーリーや、映画化の際の断片的な紹介(あるいは映画版のポスターなど)で、なんとなくイメージのようなものを抱いてはいた。けれども、読んでみると大筋はあっているにしても、細部から受ける印象はやっぱり随分と異なっていたし、そもそも僕は主人公が途中からボクサーを目指すようになる話だと勝手に思い込んでいたのだ。
 それでも、当初の予想と異なっていてそれがいい意味で期待を裏切られるような場合にはやっぱりうれしいと思う。なんとなくこういう話なのだろうなと思って、その予想の範疇を超えてしまわないような物語だった場合には、やっぱり哀しいものがあるし。いい意味での裏切りや、ひっかかりのようなものはやっぱりあってほしいと思ってしまうし。
 
 最初に挙げた紹介文に書かれている通り軽妙なテンポで進む語りは読んでいて小気味よかったし、物語も、湖面の薄氷の上をぴょんぴょんとジャンプするようなところはあっても随分とストレートな青春恋愛小説で、ひさしぶりにこういう小説を読んだという感じだった。主人公にある種の悩みなりアキレス腱なり克服するべき何か(それは倒すべき敵というように明確であったり、霧みたいに周囲をただ漂っているだけのこともある)があって、ボーイ・ミーツ・ガールのお約束があって、季節はめぐり、様々な出来事を通じて成長していくというような。
 いわゆる青春小説や恋愛小説の多くにそういった構成なり様式があって、そのある種のパターンの中に様々なバリエーションがそれこそ無数にある。それをワンパターンと呼ぶ人もいるかもしれないけれど、そう新奇な物語なんてないし(あったとしてもそんなに魅力的なものとは思えないかもしれない)、結局はそのようなパターンの中でどれだけ魅力的な組み合わせを見せることができるのかということが大切なことだとも思うのだ。
 それに、誰もが青春時代のようなものを送って成長してきているのだろうから、そこに共感することができる何かがあるのだろうし。

 今度映画版も見てみたいなと思う。


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 今日は1週間ぶりの休日で、久しぶりにゆっくりと眠った。といっても、眠りについたのがまたもや夜更かしをしてしまい午前3時30分くらいで、起きたのが午前11時過ぎだったので、時間としてはそうでもないのだけれど。
 けれども、気持ち的にはとてものんびりと穏やかで、とりあえずぼんやりとねぼけたまま電子レンジで牛乳を温めて飲んだ。
 そして、音楽を聴きながら本を読んで、ゆっくりと過ごしていた。

 今週は月曜日にファミリーレストランで後輩のレポートに付き合ったのを皮切りに、火曜日しゃぶしゃぶ、水曜日回転寿司、木曜日夢庵(スカイラーク系列の和食のファミリーレストラン)と外食ばっかりで、部屋に帰ってくるのがいつも遅かった。けれども出勤日は6時30分に起きることにしているので、結果として睡眠時間が短くなってしまっていたのだ。睡眠不足はいつものごとく気合で乗り切るのだけれど(なんでも気合で乗り切ろうとするのは悪い癖だと思う)、それでも今度の休みには部屋から出ないで好きなことをするぞと思っていたのだ。

 ということで、上に書いたとおり、音楽を聴きながら本を読んで、自分でも小説を書いて、ときどき紅茶(ネプチューン)を飲んだりおーいお茶を飲んだりしていたのだ。


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 お知らせ

 iTunesでいろいろ曲をランダムで聴いているときに、好きな曲がかかるとラジオのリクエストで曲をかけてもらったみたいになんだかうれしくなるのです。


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