言うまでもなく選び取ったものが残る。
選ばなかったもの。 あるいは積極的に捨てたわけではないかもしれない。 でも、結果的に捨てたと同義になる。 それは不可避な世界の理不尽なのだ。 どんなに憤っても、怯えても、不可避なのだ。
だから、どうか強く生きてください。
捨てたものたちにかける言葉などない。 慰めることなどできない。 捨てたら最後、それは二度と戻らない。 なるべく努力すれば多くを拾えるようになるかもしれない。 それでも手のひらからこぼれていく水をせき止めることは出来ない。 かならずこぼれるものがある。 だから、どうか強くなってください。 こぼれていってしまうたくさんのものたちを見ても、きつく歯を食いしばって良心の痛みに耐えながら、手のひらに残ったものをちゃんと大切に出来るように。 こぼれていくものたちに目を奪われて、手のひらの大切なものまで落としてしまわないように。
僕たちの手は小さく、多くのものを握り締めることは出来ない。 だから、自分がなにを選んで握り締めたのか。 それを直視できるように。 すこしづつでもいい。いつか強い心を持てるように。 強くありたいと願うことをやめないで。
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